「今日はこのゲームが最後だったので、もう本当に死ぬ気でがんばろう、と3人で話して試合に臨みました」
コートに立てなくなった江村のために、直前の選考から漏れてサポートメンバーに回った高橋未来(デンソーアイリス)と三田七南(ENEOSサンフラワーズ)の分も「がんばろう」と気合いを入れ直す。
「コートが狭い分、圧迫感もあるけど、その分声援がすごく耳に届くなと感じていました。ホームコートアドバンテージのおかげで、今日は本当に助けられたなと思います」と宮下は感謝する。会場を埋めたファンとともに戦った光景は感動的だった。強豪ドイツに13-12で競り勝ち2連勝。アクシデントを乗り越え、日本代表はすべての試合に勝利した1日目が終わった。
届かなかった17点、13点
5月4日、予選リーグ2日目。世界ランキング15位の男子日本代表に対し、エジプトは21位。しかし、その数字はあまり意味を成さないのが10分間の戦いである。1-5と日本は4点のビハインドを背負ってはじまった。点差、残り時間、そして先に21点を獲った方がノックアウトでゲームが終わるルールの中、いかに冷静なゲーム運びができるかがカギとなる。
最年少の三谷桂司朗(広島ドラゴンフライズ)は、2年ぶりの3×3参戦。目の前にぶら下げられたオリンピックへの切符へ向かって誰もが血眼になり、より当たりも激しくなる。「ずっとハードにプレーしてくるので本当にしんどくて、何度も下を向きそうになって…」と心が折れそうだった。そんな三谷の顔を上げさせたのは、経験豊富な仲間たちであり、満員の観客だった。
残り1分34秒、トーマス・ケネディ(茨城ロボッツ)が2ポイントシュートを決め、20-20。同点にしたとともに、次の1本で勝負が決まる。保岡のファウルでエジプトにフリースローを与えてしまった。絶体絶命のピンチを救ったのが、会場の大きな声援である。フリースローは嫌われ、続く日本のオフェンスで積極的に仕掛けた三谷が、今度はフリースローをもらって決着の時を迎える。
「最後に相手がフリースローを外したのも、ファンの皆さんのおかげです。僕も昨日からフリースローに少し苦手意識がありましたが、すごい声援をいただいて、それが力になって最後のフリースローを決め切ることができました。ライブ配信や現地で応援してくださっている方には本当に感謝の気持ちしかないです」(三谷)