バスケの魅力が凝縮され、ハイライトを見ているようなハーフコートの攻防は息つく暇がない。試合時間はたった10分間だが、選手にとっては呼吸を整える余裕もない。試合中はコーチがいないため、自分たちで状況を打開していかねばならず、頭も疲弊する。それが3人制バスケ、3×3(スリー・エックス・スリー)だ。
5月3日から3日間、3×3の街・宇都宮で開催されたFIBA 3×3 ユニバーサリティ・オリンピック予選2はその名のとおり、パリオリンピックの出場権を懸けた真剣勝負。男女それぞれ8チームが参戦し、男子はオランダ、女子はオーストラリアがたった1枚しかないパリへの切符をつかんだ。男女揃って挑んだ3×3日本代表は、ホームの歓声に背中を押されながら2連勝の好スタートを切る。しかし、3試合が用意された予選リーグで2勝(1敗)しても決勝トーナメントに進めないほど、ハイレベルな戦いだった。同時に、オリンピックへ続く道の険しさを目の当たりにさせられた。
3×3日本代表の国際試合は、これまで東京オリンピックでしか開催されていない。しかし、コロナ禍のために無観客だった。多くの人にとって、はじめて生で見る3×3日本代表戦は、立ち見客や会場となったライトキューブ宇都宮に入れないファンもいたほどの大盛況。昨夏のFIBAワールドカップや今シーズンのBリーグでも定番になっている10-FEET『第ゼロ感』が流れれば、会場がひとつになる。最高の雰囲気は5人制も3×3も変わらない。
アクシデントに見舞われた女子日本代表「もう本当に死ぬ気でがんばろう」宮下希保
5月3日、予選リーグ1日目。女子日本代表はオーストリアに21-15でKO勝利。高田静(ENEOSサンフラワーズ)は、「たくさんの歓声の中でプレーができて楽しかったです」と笑顔を見せた。続く、男子日本代表も強豪モンゴルに対し、最後は保岡龍斗(秋田ノーザンハピネッツ)が2ポイントシュートを決めて22-12、2分36秒を残してKO勝利を飾った。落合知也(ALPHAS.EXE)は「100点満点の試合運びができた」と準備してきた日本のスタイルを存分に発揮し、最高のスタートを切る。
3×3は1日に2試合、多いときには3試合を戦うのが普通である。ボールがラインの外に出るか、ファウルで時計が止まらない限り、ハーフコートを行ったり来たりと動きっぱなし。5人制と同じく、攻守の切り替えの早さで身長や体格差を補うスタイルは、本当にきつい。初日は女子日本代表のみ2試合目があり、体力を回復し、対戦するドイツの情報をインプットして備える。
オーストリア戦で21点中10点を挙げたエースの江村優有(早稲田大学)が、その試合で左ヒザを負傷するアクシデントに見舞われた。3×3は交代選手が1人、ロスターは4人だけのチーム編成。つまり、ドイツ戦は3人でコートに立ち続けなければならない。「ドイツとは練習試合を行ったけど正直負けの方が多く、しかも3人しかいない……大丈夫かな」と宮下希保は不安に駆られる。しかし、試合時間は待ってくれない。