とにかくそういった「切り取り」だったり「誇大広告」のように、意図して事実を歪ませた発信の仕方が最近目につくようになってきて、なんだかなあと思う今日この頃である。
ネットを眺めていると「史上最強の」とか、「最高に」とか、とにかくなにと比べたのかはっきりとしない「一番」が溢れており、「二番じゃダメなんですか?」と主張した議員さんの論調に今更ながらに共感している。
そしてそういった言い回しを製品を開発した企業が公式に発信するケースは少なく、大半は閲覧数を稼ぎたいステマ記事によるものだ。
やれ「今季のコンビニスイーツは最強クラス」だの「どこそこの新作ドリンクが至高」だのと、リリースがある度に記録が更新され続けている。
正直、非公式ステマ巡回員としてその都度味を確認しなければならない僕の身にもなってほしい。
このような記事が発見されれば即座に現地へと赴き、十分な実地調査を行う多忙な日々を過ごしているが、ほとんどの商品は言うに及ばず。
特に感動もなく、どこかで口にしたことがあるような味わいで、残されるのは加齢による胃もたればかりだ。
人の人生を弄んでおいてこの記事の作成者は一体どういうおつもりかと憤りを隠せないが、新たな記事が見つかれば胸に秘めた使命感がまた現場へと足を向かわせる。
9月某日、インターネット界隈では毎年恒例の月見バーガーが世間を賑わせていた。
これまでとは一味違ったあしらいが話題となっており、各所で絶賛の嵐を巻き起こしていた。
だがそもそも月見バーガーはそれ自体が既に至高なので、そうそうこれを上回るようなことなどあっていいはずがない。
非常に悪質なデマである可能性を見出した僕は、職務を全うするためすぐさま現地へと直行した。
今年の月見シリーズは大変な充実を見せていた。
サイドメニューも含めると相当な数の期間限定品を揃えており、熱の入りようが窺える。
この中で今回、問題とされているのはラインナップのメインである「濃厚ふわとろ月見」だ。
果たして目玉焼きに加えてスクランブルエッグまで挟み込んでしまうというその「頭痛が痛い」のような被せ方は、前評判にふさわしい奇跡を生み出しているのか。
それとも、またアクセス数目当ての過剰表現でしかないのか。
だとすれば許してはおけない。
しかるべき機関に報告して諍いを起こしたり起こさなかったりするかもしれないが、まあその辺は臨機応変にいきたい。
とにかく話は、食べてからだ。
結論から言って、最高でした。
史上最強の出来栄えかもしれません。
あとマックフルーリー月見も究極でした。
去年も発売された月見パイに関しては、もはやパイ部門の最上位。
いやー、ほんと巡回してなかったらこの極上の体験を逃してたかと思うとゾッとします。
ネット民の皆さん、これからも有意義なお知らせ、よろしくお願いしますね。
今回の引用元:『るろうに剣心』/和月伸宏/集英社
石崎巧
1984年生まれ/北陸高校→東海大学→東芝→島根→BVケムニッツ99(ドイツ2部リーグ)→MHPリーゼンルートヴィヒスブルグ(ドイツ1部リーグ)→名古屋→琉球/188cmのベテランガード。広い視野と冷静なゲームコントロールには定評がある。著者近影は本人による自画像。