そして大変残念なことに、僕はこうした書き出しが得意ではありません。
こういったコラムに限らず、仕事などで使う公式なメールのやり取りでも書き出し部分に苦戦続きの人生を送ってきたのです。
が、何事も最初が肝心。
ここはひとつ、「書き出しがさらっと浮かんでこない問題」に正面から向かい合ってみようと思いました。
さすれば、今後の執筆人生にも明るい光が射すはすです。たぶん。
また、これを読んでいる同じ悩みを抱えた皆さんも、もしかすると明日からのお仕事のメールの連絡が驚くほどスムーズになる!かもしれません。たぶん。知らんけど。
さて、今回参考にしたのはあらゆる企業からのDMであふれかえる、僕のフリーメール受信トレイです。
どれだけの広告メールがこようとも、めんどくさすぎて配信解除の手続きを取ってこなかった成果をお見せいたしましょう。有益無益問わず、毎日なにかしらの情報をがしがし送りつけてはビジネスチャンスを伺っている彼らには、顧客の心をグッと掴む書き出しのノウハウが確立されているのではないか、という点に着眼したわけです。
それでは僕が厳選した書き出し例をどうぞご覧ください。
“ありがとう”
「平素は、当社のサービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。」
「日頃よりご愛顧いただきありがとうございます。」
などのお礼から始まるメールは非常に多く見受けられました。
半分以上はこのパターンといってよいのではないかと思います。
実際のところ、人間の性質として感謝の言葉を伝えられると相手を否定しづらくなる一面があるそうです。
人に「ありがとう」と言われることで気持ちが柔らかくなり、相手の言い分を聞き入れやすくなる精神状態を作ろうという試みですね。
ちなみに僕は、コンビニのトイレで「いつも綺麗に使っていただきありがとうございます」という張り紙をみると、綺麗に使うことを強要されているなと感じるひねくれ者です。
“こんにちは”
これだけインターネット発達しちゃったらもう時間の概念とか関係なくね?と思いっきり開き直ったパターン。
午前中に送ろうが午後8時に送ろうが相手がメールを開くタイミングなんかわかりゃしないんだから、とにかく挨拶しとけとばかりに元気な「こんにちは!」を繰り出します。
この書き出しも数多く見られ、カジュアルな文章の冒頭でよく用いられる印象です。
以前、話題になった某協会の元会長氏も、
「私は、12時を過ぎてもおはようございます、でございます」
とおっしゃっていらしたので、時間帯にとらわれない挨拶はもはや世界の理といえるのかもしれません。
“絶好調様です”
圧倒的インパクト。
こんな挨拶があるはずがないとお思いの方もいらっしゃるでしょうが、実在します。
字面的に若干のネガティブ感が漂う「お疲れ様です」が、この疲れ切った現代社会の閉塞感を象徴しているんだ!とばかりに立ち上がり、「挨拶2.0」としてこれまでの常識を覆すべく到来した時代の申し子なのではないでしょうか。