直近の3シーズンは滋賀レイクスで代表を務め、クラブ運営のノウハウは十分に心得ているが、エンターテイメントの選択肢が数限りない大都市となると、プロスポーツクラブを地域に根づかせることがいわゆる地方都市よりも難しくなるだろう。しかしながら、横浜の地域性をよく知る原代表の「このクラブのコンセプトをもっと飛躍させ、ブランドとしてもコミュニティーとしても特別なものに仕上げていきたい」という意欲は、この上なく強いものがある。

「コミュニティーが形成されるとか、団結力が生まれるとか、熱量が上がって伝播していくことって、良い意味での集団心理、共通理解だと思うんですよね。大都市だといろんなものに興味関心、共通項を見出しやすいから分散されてしまい、逆に地方都市はそういうものが醸成されやすいというのはあると思います。滋賀レイクスに3年間いて、地方クラブの熱量の高さや団結心というのは本当にすごいものを感じてきましたけど、それを体現していく立場として、横浜でそれを実現できたらどれだけすごいことになるかという可能性を感じてます。たぶん横浜は日本随一の大都市の一つだと思いますけど、人口が多い中でも地域愛のようなものがすごく強い地域だと思うんです。本当に大きな可能性があると思うので、熱源をしっかり作り上げていきたいと思います」
「小さい頃から競争することが好きだった」という原代表は、大学を除く全てのカテゴリーでキャプテンを務めた経験も持っている。クラブ代表として、その生来のリーダーシップを発揮する場面は随所に出てくるだろう。
「多くのステークホルダーがいる中で、全方位的に期待感を醸成したり、足並みを合わせてもらったりしていかないといけない難しさは感じてますが、組織をリードすることは比較的向いてるほうかなと思いますし、結構チャレンジングな局面はありますけど、自分らしくやっていくことで物事を好転していけるところもあると思ってます。この機会をありがたく、楽しみながやらせてもらいたいと思います」

もう一つ、アメリカから帰国後にストリートボーラーとしてSOMECITYなどでプレーした実績もある点が、原代表のキャリアをさらに異色なものにしている。多種多様な経験が自身を築き上げてきたことを踏まえ、それを今の仕事に生かすと同時に、改めて後進への道筋をつけることも意識しながらクラブ運営を前進させていく。
「ストリートバスケ、3人制から5人制の選手になって、5人制クラブの代表になるのはなかなかレアケースだと思います。ストリートという自由度の高い、オーガナイズされてないところにもネットワークがありますし、東海大にいたので、日本バスケットボール界のコアな部分にもネットワークがあります。全てのコミュニティーにそういうつながりがあるのは珍しいかもしれないですね。私はバスケットボールの世界から出入りしてる分、やっぱり価値観は広くなりやすいと思いますし、現役の選手たちにもまずはバスケットだけにこだわらず、キャリアを最大化させるにはどうしたらいいかという視点で、引退後は一般社会にチャレンジすることも推奨したいと思います。そうしてキャリアパスがもっと広がっていくといいかなと思います」
横浜BCの新たな船出を飾る船長が、「ヨコハマをバスケの街に」というクラブビジョンをどれほど具現化することができるか、そのチャレンジが楽しみだ。
文・写真 吉川哲彦











