「僕は特別なことができるプレーヤーではないので、できることといえばスタッツに残らない部分だったり、地味な部分。ビッグショットを決めるとかは全然考えてないですし、むしろリバウンド1つとかディフェンス一つとか、僕はプレーできる時間が限られてる分、1回のプレーのこだわりというのはあります。何か特別なことをしようとは思ってないですね」

まだ24歳と若い星川としては、今は周囲からあらゆるものを吸収し、自身の成長に結びつけることが重要だ。常に最前線に立ってきた馬場の経験値やリーダーシップは、その最たるものと言っていいだろう。星川が自身の役割を徹底しようという意識を持てるのも、馬場のサポートがあってこそなのかもしれない。
「僕は自分にできる最大限のことをしようというだけでプレーしてますけど、雄大さんは僕には意識が及ばないところまで気にかけていて、中心選手はやっぱりチーム全体のことを考えてくれてるなと感じます。今日僕がコートに入ったときに、雄大さんが『特別なことをしようと思わなくていいからね』って言ってくれましたし、普段からそういう声かけのおかげで安心してコートに入れてます」
シーズン途中に現役引退を表明していた狩俣昌也に花道が用意されたことが、長崎のクラブ全体にとって大きな意味のあることだったが、星川がこのファイナルの舞台に立った意味も、他の選手より大きいものだった。昨シーズン、越谷アルファーズで1試合平均17分40秒の出場時間を与えられていたにもかかわらず、突発性難聴に襲われてシーズン終盤を棒に振った。そのまま越谷を退団した星川に手を差し伸べたのが、長崎のマオールHCと伊藤拓摩GM。昨シーズンのこの時期は、おそらく自身がファイナルの舞台に立つ姿を想像していなかっただろう。長崎ヴェルカというクラブに対し、星川は感謝してもしきれない想いでいる。
「約1年前まではバスケットできていなかった時期があって、それが今こうやってファイナルの3戦目まで戦える。本当に僕を救ってくれたチームですし、モーディや拓摩さんが声をかけてくださってこのチームに入れることになった。こんなに素敵な素晴らしいチームで素晴らしい選手たちとバスケットができる幸せを感じてますし、CSに入ってからさらに幸福感で胸をいっぱいにしてプレーできている。バスケットできるってありがたいなって本当に思ってます」

運命を分けるGAME3、星川の出場時間は1分5秒。GAME2から少し伸びたとはいえ、長いと言える出場時間ではなく、GAME2同様にシュートのアテンプトすらない。しかし、ファウルトラブルに見舞われてしまった馬場が、優勝インタビューで「もうね~、ファウルがね~……」とおどけてみせた後、名前を挙げて称えたのは山口颯斗と星川の2人だった。コートに立つ時間は短くても、星川には明確な役割があり、それをこのGAME3は果たすことができた。星川は、長崎が優勝するために必要なピースであることを証明してみせたのだった。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE











