【中編】プレッシャーも自分を成長させてくれるものの1つ より続く
「珍しく気持ちを切り替えるのに時間がかかった」というシーズンオフ。何をして過ごしましたか?と質問すると、「普通に家で家族と過ごしました」と答えた。お子さんの学校もあり、なかなか遠出もできなかったという。でも、どうやらそれは岸本が一番望んでいたオフのようだ。
「ずっと家にいて、家族と一緒に普段と変わらない普通の生活をして。でも、それが何より楽しかったです(笑)」
岸本らしいエナジーチャージにほっこりしていると、横から本人の元気な声が聞こえた。
「新しいシーズンへの準備は万端です!」
今季のキングスにネガティブな要素は1つもない
── 今シーズンの琉球ゴールデンキングスについて教えてください。練習の雰囲気はいかがですか。
雰囲気は上々です。僕のこれまでのキャリアの中でも1番いい雰囲気だと言っていいかもしれません。まずみんながすごく前向きなんですね。メンバーが変わった今シーズンは誰にでもチャンスがあるチームと言えますから、切磋琢磨の毎日です。全員がポジティブに練習に取り組んでいます。
── 今、「メンバーが変わった」と言われましたが、その中にはエースだった今村佳太選手をはじめ主力として活躍した牧隼利選手、田代直希選手などがいます。彼らの移籍にはどんな感想をもっていますか。
選手の移籍というのはこの世界ではあたりまえのことですから、慣れているつもりだったんですけど、優勝を一緒に経験したという意味で彼らはやっぱり特別な存在だったなと感じています。どんな年も一緒に戦ってきた選手がチームを去るというのは淋しいものですが、今回はその淋しさがより強いというか、いつもとはちょっと違う思いはありました。でも、どこに行っても頑張ってほしいという気持ちはあります。これからは違うユニフォームを着て戦う相手になりますが、お互いいいパフォーマンスをして、いいぶつかり合いができたらいいなと思っています。対戦する以上は負けませんよ(笑)
── 岸本さんはキングスで13年目のシーズンを迎えるわけですが、これまで移籍を考えたことはなかったのですか。
もちろんありましたよ。20代のころはもし別のチームに行ったら今とは違う新しい経験ができるのかなあと思ったし、選手としての選択肢として移籍を考えたことは何回かありました。
── でも、思いとどまったのはやはり “キングス愛” なんでしょうか。
もちろん、それも理由の1つかもしれないですね。僕はここ(琉球)しか知らないので他のクラブのことはわかりませんが、キングスはものすごく選手のことを尊重してくれる球団です。会社のみなさん、スタッフのみなさん、チームに携わる全てのみなさんがまず選手のことを第一に考え、その意向を尊重してくれるんですね。それが僕たち選手にも伝わるから自然とお互いを尊重するチームになる。おかげで僕はこれまでもいい集団の1人としてバスケットをやって来れたような気がします。それはずっと変わらず胸を張って言えるところですね。