スーパーへ買い出しに出かける。
自宅から近いその店舗は、ドラッグストアや電気店、フードコートなどが併設された大型なもので、平日の昼間でも人入りが多い。
その中にあるペットショップには毎回欠かさず立ち寄る。
透明な壁越しに撒き散らされる必須コネコ酸で心身の具合を整えたのち、食料品の買い物へと向かう。
通路の先から大きな買い物袋を抱えた老夫婦がこちらへ歩いてきた。
肩を左右に揺らし、頼りない足取りのおばあさんが、隣のおじいさんに話しかける。
「どこかでお茶でもしていきます?」
「コメダがないなら、もう用はないな」
老夫は真っ直ぐ前を見て、ドトールの目の前を通り過ぎて行った。
買い物を終えて家路に着く。
近隣には学校もいくつかあって、中高生が多く行き交っている。
僕の目の前を歩く男女二人組が、笑顔を浮かべながら駅へと向かっている。
「スマホ勢?スマホゲーム勢?」
女子が目を輝かせながら男子へ問いかける。
ゲームの話ができる同級生の女の子って羨ましいな、と自分の幼い頃を懐古する。
たまたま周りにいなかっただけなのだろうが、それでもスマホの普及によってゲームを楽しむ女子も増えたはずだ。
男の子はいかにも、といった雰囲気を持っており、ねっとりとした笑みとともに口を開く。
「あー、スマホもやるけどSwitchとかのが多いかな。最近はポケモンとか。」
それを聞いた女子は横を歩く男子から目を逸らし、
「スマホゲームしか勝たん」
と言い放って前を向き、以後は先生の愚痴などをぶつけていた。
家に帰り、バスケットLIVEを開く。
島根スサノオマジックとアルバルク東京のクォーターファイナルを立て続けに見る。
A東京の試合を見ていると、彼らが持つ戦略の一貫性が逆に不安定な気持ちを起こさせる。
チームが表現するプレーの再現性が高すぎて、「この試合、前も見たっけ」な気分になる。
ピックプレーが起こり、ビッグマンのポップにボールが渡り、ボールを逆サイドのウィングへパスしてもう一度ピック。以下繰り返し。
プレーヤーの配置とスペーシングが的確に設定されているため、継続性のあるオフェンスが実現される。
一回だけでも守りに苦労するピックアンドロールを、一つのポゼッションで複数回行われてしまっては、いかに強固なチームディフェンスも綻ぶ。
だが、オフェンスに与えられた時間は24秒。
ボールをサイドからサイドへ振ってピックアンドロールを続けられるのは、せいぜい二回から三回がいいところだろう。
そして時間的な都合によるスムーズなボール回しを行うためには、各段階でポイントになる理想的なポジションがある。
それはいわゆるミドルレンジ、ペイントエリアと3ポイントラインの間。
現在、統計的に最も得点の期待値が低いとされているシュートスポットだ。