同じ日のドルフィンズアリーナ。
名古屋ダイヤモンドドルフィンズ対島根スサノオマジック戦においても、変則的なゾーンディフェンスが見られた。
名古屋は3-2の形を取り、金丸晃輔や安藤誓哉のアウトサイドに対応しながらフィジカルお化けのリード・トラビスに備えるのかと思いきや、同じポゼッションのうちにいつの間にかディフェンスをマンツーマンに戻していた。
そして次の名古屋の守備も3-2の構えから、どうせまたマンツーマンに戻るんだろ…と眺めていると、今度は島根がシュートを打つまで3-2のままであった。
これが最近よく見られる変則的ディフェンスの特徴の一つで、特定の条件を満たしたときに限りディフェンスが変化する。
それは、自分たちの欠点が露出しそうになったり、あるいは先の三遠のように、なにかしらのアクションが起こったりした瞬間をスイッチとする。
どちらにせよ、その条件がわからない以上はどのように攻めるのが最も効率的なのかを特定することができず、チーム全体が消化不良に見舞われる。
この日、島根は名古屋による出題に正答することかなわず、その違和感に引きずられるような形で敗戦を喫した。
しかし翌日、島根は解答を用意した。
前日と同様、頃合いを見計らって繰り出す名古屋のゾーンに対し、前日とは打って変わってピックアンドロールを強調した攻めで突破口を見出した。
正直な印象を述べると、前日の試合でも名古屋のゾーンを攻められていないというほどではなかった。
目的化されたプレーで金丸に3ポイントを打たせられていたし、3-2ゾーンがカバーしづらいコーナーでのシュートも打てていた。
だが恐らく、なにが起こっているかわからないという状況がもたらした終盤の不調であり、それを排除すべく攻め方の共有を図ったのだろう。
そのために、3-2に対しても有効で、かつディフェンスが変化してマンツーマンになったあとでも効力を発揮する攻め方で対抗した。
島根側が、次の試合が始まるまでの時間を使って名古屋のディフェンスが変化するスイッチを見極められていたかどうかはわからない。
だが、試合中にもたらされた情報を分析し、問題を解決するための答えとしては十分すぎた。
答えはひとつではない。
わからない問題があったとしても、そのままにしておくことだってできる。
必要なのは、今の状況で最良の結果を得るために、最適な手段を見つけ出すこと。
誰かが用意した正解に一喜一憂するのは、テレビを見てるときくらいでいい。
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE