オフェンスがうまく機能しなかった原因
1ヶ月前、千葉ジェッツに敗れた川崎ブレイブサンダースは東地区6位だった。そこから7連勝を挙げ、チャンピオンシップ圏内の3位へと一気に順位を引き上げる。3月3日、東地区首位の宇都宮ブレックスと対戦。開始5分、9-0と川崎が一方的なリードを奪った。宇都宮は5人全員を交代させて巻き返しを図り、第1クォーターを終えて12-7。ディフェンスに定評がある両チームだけに、ロースコアな展開は想定内と言える。
腰痛のニック・ファジーカスを欠いた川崎こそ、平均試投数より8本少ない55本だったが、宇都宮は平均(66.6本)通り65本のシュートを放っていた。しかし、この日は川崎が32.7%(平均46%)、対する宇都宮も32.3%(平均44.5%)とそれぞれシュート確率が平均を下回り、得点が伸びなかった。オフェンスがうまく機能しなかった原因について、両ヘッドコーチはこう語っている。
「相手のディフェンスの戦術に対して、なかなか対応できないまま時間が過ぎてしまう展開が勝ちきれなかった原因」(佐藤賢次ヘッドコーチ)
「試合の入りもオフェンスではあまりペイントタッチをせずに、外でボールを回してタフショットを打つ展開で、なかなか点数が伸びなかった」(安齋竜三ヘッドコーチ)
宇都宮のスイッチディフェンスに対し、「どうしても1on1だけになってしまうので、なかなかボールをインサイドに運べなくなかったことでオフェンスが重たくなってしまった」と佐藤ヘッドコーチは続ける。しかし、第4クォーターは篠山竜青を中心にペイントアタックしたことで打開していく。第3クォーターを終えて10点リードされていた川崎だったが、積極的な篠山のプレーで8点のランから42-49と点差を縮めた。しかし結果は、54-58で宇都宮に逃げ切られる。「もう少し早く、第3クォーターからあの時間帯を作れていれば、もう少し展開は変わっていたと思う」と佐藤ヘッドコーチも悔やむ結果となった。
対する宇都宮は、先発メンバーがオフェンスを重たくしていた。第4クォーター、川崎の反撃の前に得点が止まった時間帯も同じ布陣だった。先に挙げた反省点と同じ理由だけではない。「そこは僕もヘッドコーチをしていて難しい部分」でもあった。「一つの隙もディフェンスでは作りたくないからこそタイムシェアをしている」と高い強度を保つことを安齋ヘッドコーチは考えている。第4クォーターで先発メンバーに戻すタイミングをうかがいつつ、「悪い方に転ぶこともあるだろう、という思いも半分はあった」という。ベンチスタートの比江島慎とテーブス海が連続得点を挙げ、49-34と点差を開いた後であり、「点数的にはまだ余裕があったので、またメンバーを戻せば良い」という考えもあった。逆転こそ許さなかったが、相手に流れを与えてしまった点に対し、「そこは難しく、タイムシェアをしている一つの欠点とも言える。大人数を代える場面で、流れを引き継げない部分があることは、僕も感じている」という安齋ヘッドコーチが頭を悩ませる判断でもあった。