── いわゆるシュートセレクションの問題。ずっとシューターとしてプレーしてきた松井選手としてはシュートセレクションをどう考えていますか?
松井 もちろんシュートセレクションは気にしなければいけません。いくらシュートがうまいからといって、どんなシュートでも打っていいのかといえば、そうではないですよ。僕も自分が打てる場面で佑也にパスしたことは何度もあるし、それで佑也が決めてくれればお互いがハッピーになって、チームとしてもいいのかなと。バスケットは5人でやるスポーツなので、常にチームメイトを意識して、信頼してやらなければいけないのかなって思います。
── もちろん自分が打って、決めれば、自分がハッピー。
松井 そうですね。自分が気持ちよく打てるんだったら打っちゃいますけど、ディフェンスが勢いよくクローズアウトをしてきて、感覚的には打てるんだけど、どうしようかなって悩むんだったらコーナーにいる佑也にパスをしたほうが確率もいいのかなって。
── つまりは状況判断。
松井 そうですね。まぁ、僕の場合、8割は打っちゃいますけどね(笑)。そうして佑也にはリバウンドに入ってもらう。そういう意味で佑也はいろんなことができるんです。僕みたいにシュートしか打てない選手に、シュートが打てないなら違うことで貢献してって言われても、リバウンドもそんなに高く飛べないし、ビッグマンのディフェンスもそれほどうまくはできない。でも佑也は外からも打てるし、実際に今シーズンは相手の2番、3番につくこともしている。そういうところでも貢献できるから、僕が打って、佑也にリバウンドを取ってもらうことで佑也の良さを出してもらえるのかなって思いますね。
── 永吉選手自身としてもそれを強みだと思っていますか? インサイドをやっていたからこその貢献の幅が自分の強みだと。
永吉 それは思いますね。僕が3番で出ることで、ディフェンスではスイッチが多用できるなど、すごくバリエーションが増えるんです。それも僕が3番でやるうえでの強みになっているかなって思います。
松井 ゾーンをやっているときは下の3人───佑也とジュウ(マブンガ)とディー(デイヴィット・サイモン)が大きくて、機動力もあるから、相手としても簡単には攻められないですよね。上の2人───たとえば僕と(中村)太地も思い切って相手にプレッシャーをかけることができます。オフェンスでも相手の日本人の2番、3番が佑也を守ることがあります。そうしたときはポストアップをしてずれを作ったり、シールをしてレイアップを打ったり、ミスマッチを生かせるんです。
永吉 僕が出たときは3人のバランスはすごく大事にしています。もちろんまだ問題もあるんだけど、そこは僕一人が悩んでいるわけではなく、チームも一緒に悩んでいるところです。チームでコミュニケーションを取りながら改善していくことがすごく大事だと思っています。
part2「進化する“ピュアシューター”へ」へ続く
文 三上太
写真 沼田侑悟