強みを生かしたコンバート
学生のころは、どちらかといえばゴリゴリのインサイドプレーヤーという印象が強かった。むろん本人も認めるとおりミドルレンジのシュートもうまかったのだが、体格のせいだろうか、やはり「ザ・センター」というイメージが先行していた。京都ハンナリーズの永吉佑也である。しかし彼は今、3番ポジションにチャレンジしている。
一方、今シーズンから京都に加入した松井啓十郎は若いころから2番、3番を担ってきた生粋のシューターである。おのれの腕一本で今の地位を築いたといってもいい。
新型コロナウィルスの影響でリーグが中止になるよりも前、一度目の中断が明けてリーグ戦が再開になる前日、2人に「コンバートXシュート」について話を聞くことができた。
対談の第1話は「コンバート」の難しさについて───。
── 永吉選手は今、何番をやっているのですか? 今日の練習を見ていると3番をやったり、4番をやったり……
永吉 あいまいですよね。その時々に応じてポジションを変えています。ウチのチームの中心はジュリアン(・マブンガ)なんですけど、彼が1番をやるときもあるし、4番をやるときもある。3番をやるときもあれば、5番をやるときだってある。それに順応できるような形でプレーしています。
── 若いころはどちらかといえばインサイドプレーが中心でした。プロになってアウトサイドに出ていくことに葛藤はなかったですか?
永吉 いや、逆に楽しんでやっているところがありますね。3ポイントシュートを打つようになったのは京都に移籍してから。元々ミドルレンジのシュートには自信があったんですけど、炎さん(浜口炎ヘッドコーチ)から「そのシュート力をもっと外に伸ばすべきだ。練習をすれば絶対に入るようになるから」って言われたことがきっかけです。自分としてもその後の成長を考えたときに3ポイントシュートを決めていかなければいけないなと思っていたので、挑戦を始めました。
── アウトサイドプレーの難しさをどう感じていますか?
永吉 オフェンスでトランジションをするときに、単純に走るレーンが違います。だから3番で出ているのに4番、5番が走るレーンを走ると、インサイドがすごく狭くなってしまう。そこは頭を切り替えてやらなければいけないなって思います。
── 加えてシュートの距離も変わってきます。ミドルレンジが得意だったとはいえ、3ポイントシュートはさらに遠い。そこへの順応はいかがでしたか?
永吉 ただ単に打つんじゃなくて、打つタイミングを考えますね。それに関しては今もちょっと自分の中で葛藤があったりするし……でも、それを理解しないとシュートそのものの精度も上がらないなって思っているんです。
── タイミング?
永吉 僕たちはチームでバスケットをしているわけです。それなのにわざわざタフショットを打つ必要はないし、それだったら京都にはいいシューターがたくさんいるので、パスを選択すればいい。逆に、ここだったら思い切り打ってもいいって自分で見極める必要がある。僕がタフショットを打って、でも隣でKJがガラ空きだったら、グッドショットかもしれないけど……
松井 グッドショットじゃないよ(笑)。
永吉 いや、僕が言いたいのはKJが打ったほうがベター……いや、グレートなシュートになるってことです。