自分の力だけでバスケットができているわけではないプロの世界
9勝34敗で中地区最下位、B2全体でも下から2番目のアースフレンズ東京Zは14連敗中である。「ディフェンスの遂行力はお互いに高いので、思うように点数が獲れない試合になることは分かっていた」と仙台89ERSの桶谷大ヘッドコーチは、勝敗がほぼ正反対の弱小チームを警戒する。この1ヶ月間は各地区の上位チームとの対戦が続く中、結果こそ得られなかったがしっかり爪痕を残してきたことで悲壮感は感じられない。
どんな状況でもチーム全員で守り、最後までボールを追いかけ、ゴールへ向かう。残り10秒を切り、10点ビハインドの状態でマイボールになれば、白旗を挙げてコントロールするのが通常だ。だが、2月16日の仙台戦での久岡幸太郎はその選択をせず、残り2秒に体勢を崩しながらも3Pシュートを放った。
「プロの世界に入ってから、自分の力だけでバスケットができているわけではないことを身に染みて感じています。イベントやファン感謝祭に参加したことでいろんな方々が関わっていることを知り、ホームゲームはみんなが盛り上げてくれるわけです。今日もたくさんの方が観に来て、最後まで応援してくれているからこそ、最後の1秒まで全力でプレーしたかったです」
同じ日、8会場でB2の試合が行われたが、東京Zのホームである大田区総合体育館には1,762人を集め、4番目の集客だった。今シーズンの平均入場者数はB2の中で8位と中堅におり、戦績とは異なる順位にいる。けっして少なくはないファンのためにも、手を抜くことはできない。
答えが分かっているのに違うプレーをしてしまうもどかしさ
2018年11月、中央大学4年生だった久岡は特別指定選手として昨シーズン途中から東京Zに入団。着実にプレータイムを伸ばし、1ヶ月が経った頃には先発で起用されはじめる。2ヶ月後の2019年1月にプロ契約を結んだ。
2年目の今シーズンは先発で起用されていたが、柏倉哲平がケガから復帰したことでベンチスタートとなる。「コートに立ったときに自分のやるべきことをやる。それだけに思考をフォーカスしことで、スタメンでもそうでもなくても自分のプレーができるようになってきました」と精神的にもたくましくなった。「若さを全面に出していきたい。キレイにゲームを作るというよりも、アグレッシブに向かっていきたい」と東頭俊典ヘッドコーチは考え、前節の西宮ストークス戦より突破力のある久岡を先発に戻す。「今シーズンの中心選手になると踏んでいた」柏倉の完全復活にも指揮官は期待しており、異なるスタイルのポイントガードデュオがチームを上昇させるためにも欠かせない。