山口自身にとっても、大きな武器になっているようだ。記者会見中に訳すのは本人であり、照れながらではあったがベックヘッドコーチの山口に対する評価を伺った。
「通訳を兼任しており、本当に難しいポジションなのは分かっている。祐希はハードワークできる選手であり、宇都がケガをしてしまった今、プレータイムが伸びている。祐希がコートに入っているときは、チームもうまくエクスキューションできている。通訳としても、選手としても信頼している」
宇都がケガしたあとは全ての試合でコートに立っており、勝利した川崎戦では18分41秒出場。山口は見事にチームをコントロールしていた。
チャンスを生かすことができ、信頼を勝ち取れてきている
210cm、138kgのビッグマン、ジョシュア・スミスがシーズン早々に戦線離脱した。しかし富山にとっては、本来の姿である日本人選手を生かすプレースタイルに戻り、プラスに働いているように感じる。「今は自由にやらせてもらっています」というルーキーの前田悟は、192cmのスモールフォワード登録だが、さらにアウトサイドへプレーエリアを拡大中だ。
「昨シーズンを見ている限りでは外国籍選手に頼っている部分があって、インサイドにボールを入れれば簡単に点を獲ることができるような感じでした。でも今は、本当にチーム全員でバスケットをしている感じがしています。昨シーズンはプレータイムがほとんどなかったので比較することはできませんが、今はとてもプレーしやすいです。ボールにも触れますし、良い感じでチームも向上しています」
特別指定選手だった昨シーズン、前田自身も「ヘッドコーチは新しい選手をあまり起用しない」と話していた。しかし、それは不満ではない。置かれた立場を理解しているからこそ、真のルーキーシーズンへ向けた準備期間として全てを吸収していた。昨シーズンの富山は初のチャンピオンシップに出場し、前田も千葉ジェッツ戦に1分18秒だがコートに立った。その空気を肌で感じたからこそ、今シーズンに向けてやるべきことが明確になる。「富山は3Pシュートが昨シーズンも課題でしたし、他のチームに比べて少ないインサイドバスケットだったので、そこが僕にとって付け入ることができる部分だと思って狙っていました」と磨きをかける。ベックヘッドコーチからも、ボールをもらったら積極的にゴールを狙うように指示されており、1月5日現在平均11.6点、勝利した川崎戦は3Pシュートを4本沈め、15点を記録している。3Pシュート成功率は40%(50/125本)、現在リーグ6位タイと好調だ。