今シーズン、サンロッカーズ渋谷(以下、SR渋谷)がおもしろい。
Bリーグ開幕のシーズンこそチャンピオンシップに進んだが、2年目以降は地区で5位、4位と低迷し、チャンピオンシップ出場を逃している。今オフには選手の大半が入れ替わり、大黒柱だったロバート・サクレも突然の現役引退表明。チームの再建は遅れるかと思われた。
しかしふたを開けてみると開幕戦で千葉ジェッツふなばしに連勝し、3戦目でアルバルク東京にはその連勝を止められたが、翌日にはバウンスバック、昨シーズンのBリーグ王者をも下している。その後も2度の4連勝を果たすなど、白星先行で12月10日現在、東地区で同率1位に立っている。
その立役者の1人が、今シーズンからチームに加わったセバスチャン・サイズだ。205センチ、106キロのパワーフォワード/センターは25歳と若いが、ウイングスパン(両手を広げたときの長さ)が231センチもあり、ディフェンスやリバウンドでSR渋谷の勝利に貢献している。
「リバウンドは僕の強みのひとつだよ。ただそれは自然と身についたものかな。もちろんサイズもあるだろうけど、自然と身についてきたんだ。ただリバウンドはどこのリーグに行っても必要とされるものなので、Bリーグでもそれをどんどん生かしていきたいと思っているよ」
日本が世界と戦ううえで弱点の一つと言われているリバウンドを「自然と身についたもの」と言われてしまうと立つ瀬がない。日本にも、数こそ少ないがセバスチャンほどの(ファミリーネームの「サイズほどの~」と書くと、身長や大きさを意味するそれと混同しそうなので、ここではファーストネームで呼ばせてもらおう)身長を持つ選手は何人かいる。そしてその誰もがリバウンドで苦労している。もちろん身体能力の差などもあるだろう。それであっても「自然と身につく」にはセバスチャン自身の意識の高さがあるはずだ。彼は自身について、こう分析している。
「ボクは自分自身を“ウォーリアー(warrior。勇士)”だと思っている。勝つためには何でもするし、それがオフェンスでも、ディフェンスでも、チームがそのときに必要としている状況でチームを助けるために何でもやる。それにボクは完璧な選手を目指しているんだ。まだその途中段階で、ドライブやハンドリングスキルは身につけなければいけないけど、強みはディフェンスとリバウンド。他の選手と比べてもけっして特別大きいわけではないけど、リーチの長さを生かしてブロックを量産したり、リバウンドに絡んだり、ダイブをしてチームを救っていく。そうした細かいところをやっていくのが自分の強みだと思う」