2試合とも90点以上の失点を許し、ディフェンスで負けた。それでも岸本は「ディフェンスに関して充実していたし、良い印象を持っています」と自信を見せる。ハードなディフェンスとファウルは紙一重であり、4つのファウルがその証拠と言えよう。
最前線からプレッシャーをかけ、その背中を見せてチームを鼓舞するのがガードの役割である。「自分で言うのもなんですが…」と恐縮しながらも、今シーズンはディフェンスで褒められることが多いそうだ。しかし、岸本自身は「上手くなっているつもりは本当にないです。下手なりに、いや下手だからこそ、エナジーだけは失ってはいけない」と気持ちで技術を凌駕している。ディフェンスやリバウンドは気持ちの持ちようですぐさま向上できると、これまでも多くのコーチが説いてきた。
巻き返すためのキーワードは共通理解
昨シーズンの主力メンバーがこぞって移籍し、外国籍選手も全て入れ替わった琉球はまだまだチームになりきれていない。個々人がエナジーを出して守っていても、チームディフェンスが徹底されなければ穴は生じてしまい、「まだまだ積み上がっていない状況です」という岸本はひとつのキーワードを挙げた。
「もっともっと共通理解を持つこと、そこです。チームとして目指す方向が間違っているわけではないです。やるべきことを40分間やること。まずはそこを徹底して、共通理解をキーワードに残りのシーズンを戦っていきたいです」
オフェンスに対しては手応えを感じており、「相手のディフェンスに対する脅威はあまり感じていません」と言うとおり、現在平均12点はキャリアハイを更新しそうな勢いだ。川崎戦も前半間際に2本連続で3Pシュートを沈め、合計11点を挙げた岸本は個人通算2,000得点を達成した。
現在リーグ全体の勝率トップにいる川崎戦を通して、「少しでも隙を見せたら、チームディフェンスどうこうではないところから積み上げなければならなくなってしまいます。その隙や油断を消していくためにも、もっともっとチームディフェンスに良い影響を与えていけるようにしたいです」と少なからず課題が明確になった。まだ1/3にも達していない段階であり、長いレギュラーシーズンを通して変化させていけば良い。課題がディフェンスであれば、気持ち次第ですぐに好転する可能性だってある。
文・写真 泉誠一