ストリートボールをベースにしてきた上松だけに、「プロになって最初の頃は点数を獲ることばかりを考えていました」。だが、様々な環境で経験を積みながら「バスケに関していろいろと覚えてきたことで、勝つために必要なものや相手の弱点を見つけてチームに浸透させながらどこで攻めれば良いかなどが分かってきました」とバスケIQの部分で変化が見られる。「自分が気付かないときでも、チームメイトが教えてくれることも多いです。そこは家に帰ってから映像を見直したり、B1の選手のプレーを見ながら自分と比較し、日々研究しています」というバスケへの情熱と努力は、ストリートボーラー時代から変わらない。
B1昇格を目標に掲げるべきB2クラブではあるが、ライセンスの問題もあり、一筋縄とはいかない現状がある。「チームの目標はプレーオフ出場。B1を目指してはいますが、毎試合戦う相手に勝つことや、一つひとつの目標をチームで大切に共有しています」と来たるべきB1に備えて成長し続けるだけだ。
Bリーグにおける代表的なダイキと言えば、アルバルク東京の田中大貴が真っ先に挙げられるだろう。だが、ストリートから這い上がってきた東京EXのダイキもまた、遅咲きながら雑草魂で緑色のホームを熱くする。
「F’SQUADの仲間たちから受けた刺激や、ストリートで培った闘争心が今、すごく生きています」
真価が問われる各地区強豪クラブとのタフな連戦
東京EXは21試合を終え、13勝8敗で中地区3位におり、プレーオフ圏内を争っている。平均84.2点(リーグ2位タイ)の得点力を武器とし、「そこをどう生かすか毎試合試行錯誤している」という石田剛規ヘッドコーチ。B3から昇格してきたばかりにも関わらず、最初の10試合は9勝1敗と好スタートを切った。「なんとか勝ち星をつかみ獲ったものの、苦しい試合が続いていたのも確か。その中でも連勝できたことは大きかった」が、その後の10試合は3勝7敗と足踏みが続いた。昨シーズンのB2チャンピオンであり、中地区首位の信州ブレイブウォリアーズを相手に満員のホームゲームで勝利を飾り、次の10試合へ向けて弾みをつける。
「ラインナップや戦術を変えることもあるが、B3で優勝してきた自分たちのバスケの何が通用し、また通用しない部分を確かめながら戦っているような感覚。特に1試合目に勝つこと、または1試合目のハーフタイムで修正して勝ち切ることが重要。信州戦は2試合目に修正できたが、1試合目の修正が遅かった部分の精度を詰めていき、1試合目から勝ち切れるように、強豪相手にも自信を持って戦えるチーム作りをしていきたい」(石田ヘッドコーチ)
次戦はすぐさま12月11日(水)に、同地区のファイティングイーグル名古屋を迎えるホームゲームが待っている。その後も東地区でトップ争いをしている仙台89ERS、リーグ最高勝率(19勝3敗:86.4%)を誇る西地区首位の広島ドラゴンフライズと続くこの時期を、石田ヘッドコーチは開幕前から重要視していた。
「12〜1月にかけてタフな相手との対戦が続く。ここをどう乗り越えるかで、チームの真価も問われると思っている」
文・写真 泉誠一