── 来年の東京オリンピックには男女揃って出場します。男子は44年ぶりの出場となりますね。
楽しみですよね。男子は今、確実に力をつけてきていると感じています。ワールドカップ予選の4連敗から息を吹き返したのはニック・ファジーカス(川崎ブレイブサンダース)の帰化や八村塁(ワシントン・ウィザーズ)、渡邊雄太(メンフィス・グリズリーズ)の加入などが大きかったと言えますが、ただそれだけじゃなくて彼らの力に呼応するように田中大貴(アルバルク東京)、馬場雄大(テキサス・レジェンズ)、比江島慎(宇都宮ブレックス)といった選手たちがどんどん力を発揮できるようになった。ワールドカップの結果は残念でしたけど、経験したことは大きいですよ。よく「結果が伴わないなら出場した意味がない」と言う人もいますが、それは違う。自分たちの力でワールドカップへの切符を勝ち取って、そこで世界の強豪と戦った経験はものすごく大きい。あの場所に立ったからこそ得られるものがあるんです。自分の肌で感じたことは忘れない。次に進む力になります。それを糧にして東京オリンピックを目指してほしいですね。これはまた1つ日本が成長できるチャンスなんですから。
── 思えば4年前のBリーグ発足を機に男子バスケット界にも追い風が吹いてきたように感じます。
たしかにそうですね。Bリーグの発足とともにチームのプロ化が実現し、日本の男子バスケット界は大きく変化しました。八村くんというNBA選手が誕生したことで注目度も一気に上がった気がします。本当に日本のバスケットは私の現役時代には考えられなかった場所まで来たなと思いますね。
── そして、この時期に内海さんもまた男子バスケット界に帰ってきました。レバンガ北海道を見ることになった経緯を教えてください。
女子の日本代表を離れ、その翌年に札幌大学の客員教授兼バスケット部のシニアディレクターという役職をいただいて北海道に来ました。2017年ですね。そのときレバンガからお話があってシーズン途中からアドバイザリーコーチを引き受けることになりました。大学の授業もありましたから毎日練習に参加することはできませんでしたが、時間を縫って極力参加して、試合にも帯同しました。私にとって大きかったのはこの時間ですね。練習を通じて選手1人ひとりの性格とかプレースタイルとか武器となるもの、足りないものが何なのかが徐々にわかってきました。ヘッドコーチとはまた違う視点で選手を見ることができたというか、言うなれば助走期間ですね。ヘッドコーチに就任する決心がついたのはその期間があったからです。