莫大なエネルギーを消費させながら、翌日には前日と同じか、それ以上にエネルギーを発揮しなければならない。それを毎日毎日、来る日も来る日も繰り返す。自らが選んだ道とはいえ、プロのアスリートであり続けることは決して楽な道ではない。地道なトレーニングを日々重ねてこそ、観客が見つめる煌びやかなコートの上に立てるのである。
しかもチームスポーツとなれば、全員が同じ方向を向いて、同じように全力のエネルギーを発揮しなければいけない。
「だからこそ、ここに僕がいるんじゃないかなと思います。それが難しいからこそ僕がいる。僕が熊本というチームにいる意味、存在価値はそういうところにあるんじゃないかと、僕は見出しています」
これか。
これが古川や小滝が口をそろえて認めた小林の熱さなのか。
むろん発した熱さは自分にも跳ね返ってくる。それはときに自らの首を絞めることもある。「しんどいですよ」。小林は正直にそれを認める。
「しんどいですよ。言ったら引けないし、言う以上、自分も完璧にやらなければいけませんから。実際、失敗することもあります。そのときは素直に『ごめん』と謝ります。『俺ももう一度、ここを見直すわ。やり直すわ』と言って、やり直せばいい。そういう失敗する勇気が持てるようになったのは大きいかもしれません。失敗することは恥ずかしいことではないし、悪いことでは……いや、悪いことですけど、そこで修正をすればいいだけなんです。若い頃って失敗したくないから、うまくやろうとして縮こまってしまう。そこで『失敗してもいいや』って思えるようになってからは、自分がちょっと変わってきたんじゃないか、またちょっと変わったリーダーになってきたんじゃないかと思うんです」
若いころの小林はけっして優等生ではなかった。古川も大学時代を思い出しながら、いくつものエピソードをグッと飲み込んでいた。
だが人は変われる。
小林もまた、さまざまな経験を重ねて変わってきた。
part2へ続く
文・写真 三上太