試行錯誤の末にたどり着いた小林のキャプテンシー。だからといって、熱さが失われているわけではない。言葉は穏やかだが、そのなかにどこか熱を感じる。
取材がおこなわれたのは開幕後4試合を消化したところで、チームの成績は1勝3敗。B2の西地区で5位と、順位ももうひとつ伸びていない時期だった。その後やや持ち直し、9勝10敗で同3位まで成績を上げてきているが(11月19日現在)、昨シーズン終了後の成績と比較すると(45勝15敗で西地区1位)物足りなさを感じるファンも多いかもしれない。ただ今シーズンの熊本はヘッドコーチがセルビア人のネナド・ヴチニッチに替わり、選手も大幅に入れ替わったため、新しいバスケットを落とし込むのに時間がかかっていると小林は明かす。
「今のヘッドコーチがやりたいことを僕たちがどれくらい体現できるか。ヘッドコーチの考える100%を体現できたら、僕たちの目標は近づいてくるでしょうし、それが70〜80%だとなかなか難しいと思います。今はまだ40〜50%。ヘッドコーチの言っていることを僕たちが遂行できていないので、今年は『遂行力』がカギになってくるんじゃないかと思います」
彼らの目標は、いや、小林自身が掲げる目標は常に「日本一」である。B2のチームが何を言っているんだ? と思われるかもしれない。しかし高い目標を設定せずに、どうして高いレベルで戦えるというのか。もちろん簡単なことではない。かつて日本一を経験している小林だからこそ、それは十分にわかっている。
「一つひとつ積み上げていくしかないんです。夢は大きく語りますけど、やっていることは毎日、毎日練習をして、コーチ陣がその内容をチェックして、修正したり、継続したりしながら、その作業を何度も何度も繰り返していくだけなんです。そうして完成度を高めていく。ヘッドコーチが来て2〜3か月経ちますけど、まだ40〜50%くらいだと思うと、本当に莫大な時間と、莫大な体力、エネルギーの繰り返しが必要になるんです。だからこそ簡単じゃないし、一歩ずつ階段を上っていく、その一歩を出すのは大変な作業だと感じています」