体力面は削られ、精神的ダメージも受けるディフェンス
選手にとってオフェンスは楽しく、得点を決めれば勢いに乗る。鼻息荒く向かって来る相手に対し、ゴールに背を向けながら食い止めねばならないディフェンスは厳しい仕事だ。
「前から当たっていくことで、体力面の削られ方はやっぱり大きいです。それで相手にシュートを決められてしまうと精神的なダメージも受けます」と遠藤がその大変さを言葉にしてくれた。ディフェンスで勝負する選択肢を取ったからこそ、「疲れたら交代できる選手層の厚さが今はあります。仲間を信じることも大事です」とチーム力が必要になる。
宇都宮はジェフ・ギブスと竹内公輔のインサイドプレーヤーを同時にケガで欠く時期があった。危機的状況の中、203cmの橋本晃佑や185cmのポイントガードながら持ち前のフィジカルを生かした鵤誠司がゴール下で奮起し、乗り越えてきた。「あのときの経験があるから、A東京が相手でも萎縮せずにプレーできていました。彼らを見て、チームとしてステップアップできていることを実感できました」と遠藤は言い、チームディフェンスでチャンピオンを倒すことができた。
厳しい戦いが続いた10月があったからこそ、「さらに強くなることができました。これから這い上がれるチームであることを再確認できました」と遠藤は力を込める。ファーストシーズンと同じ結果を求めて、前進あるのみだ。
得点が入ることがバスケの醍醐味である。だが、体力も気力も極限まで追い込むディフェンス重視のチームは、常にプレーオフのようなヒリヒリした戦いが見られるのが楽しい。
文・写真 泉誠一
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