オフェンスの長所を消し合うディフェンス対決
4シーズン目のBリーグだが、これまで完封試合は一度もない。プロ野球やJリーグ、ラグビーと違い、バスケの場合は必ず得点が入る。しかも大量に、である。後に選手が語っているが、70点を取ってもロースコアゲーム。ゴールの歓喜を必ず味わえるのがバスケの醍醐味であり、オフェンスが有利とも言われるスポーツだ。
ならば、オフェンスにフォーカスした方が強いチームを作れるのではないか…。今夏来日したデトロイト・ピストンズのドゥエイン・ケーシーヘッドコーチは、「元々はディフェンスを重視していたが、今のNBAはオフェンスに力を入れなければ勝てない」とその哲学をあらためてチーム作りをしている。八村塁のホームデビュー戦となったワシントン・ウィザーズvsヒューストン・ロケッツは、158-159の点の取り合いとなったのも記憶に新しい。ウィザーズファンの筆者にとっては苦い記憶だが……。
その一方で、ディフェンスを重視して強化するチームも少なくはない。Bリーグにおいて、その代表格である宇都宮ブレックスvsアルバルク東京は、オフェンスの長所を消し合う戦いだった。「いつも試合が終わるとドッと疲れてしまいます。本当に体と体のぶつかり合いを覚悟して立ち向かっていかなければならず、そのためにも気持ちが大事です」とA東京の安藤誓哉は、古巣でもある宇都宮戦に向けて備えていた。
マンツーマンディフェンスの場合、同じポジション同士のマッチアップがほとんどである。しかし、安齋竜三ヘッドコーチは田臥勇太ではなく、ディフェンスに定評ある遠藤祐亮に安藤のマークを指示する。「遠藤が出だしからプレッシャーをかけ続けてくれた」ことでオフェンスの起点を遅らせ、79-71で宇都宮が勝利し、前日のリベンジを果たした。殊勲の遠藤は、「どちらもディフェンスを強みとしているのでロースコアの展開になったが、40分間気持ちを切らさずに自分たちが目指すべきディフェンスができたとともに、ミスも少なかったです」と勝因を挙げた。