新シーズンの契約についての話し合いは、通常フロント、GM、選手の3者間で行われる。その内容については推測の域を出ないが、当初は「残りたい」「残したい」という相思相愛の関係にあったのではなかろうか。「そうですね。(話が)向かう方向は同じだったと思います。違っていたのは僕が評価してほしいと思うところとチームが示した評価でした。途中の微妙なすれ違いを考えると、コミュニケーションが足りなかったのかもしれません。が、うまくは言えませんが、話し合いの途中で僕の方から『じゃあもういいです』と席を立ったわけではなく、最後はチームの決定事項として受け取る形でした」
契約満了の報せを知ったときは「やはりショックで気持ちの整理ができない部分もあった」と言うが、「プロである以上起こり得ることなので一晩寝たら切り替えることができました」。胸に残ったのはたくさんの感謝の気持ちばかり。「自分は千葉ジェッツというチームに育ててもらった選手であり、チームを離れることになっても感謝の気持ちが消えることはありません。ずっと応援してくださったファンの方への感謝も同じ。あの声援があったからこそ自分は成長できたのだと思っています」
サンロッカーズ渋谷への移籍を決めた今は心機一転。「新たなエネルギーが沸いてきた感じです」と見せる笑顔は清々しい。いくつかのチームからオファーを受けた中でSR渋谷を選んだのは「自分がこれから1番成長できるチームだと感じたから」だと言う。「何しろ移籍は初めての経験ですから、いろいろ悩んだところもあったのですが、やっぱりプロは身体が資本なのでフィジカル面でのケアの充実を前提にして、その上で自分が最も成長できるのはどこか?と考えました」。SR渋谷は今季メンバーが大幅に入れ替わったチーム。
「その中でまず求められるのは得点面でしょうが、自分の目標はこれまで以上に貪欲にゴールを狙うということ。シューターのエゴじゃないですけど、ここは絶対俺が決めてやる!みたいなガムシャラな自分を出していきたいと思っています。ちょっと自分のイメージとは違うかもしれませんが、それを意識することで、また違った自分が発見できるんじゃないかと思うんですね。ここ(SR渋谷)ならそういうチャレンジが1番できると思ったのも(移籍への)決め手になりました。新生SR渋谷と新生石井にぜひ注目してください(笑)」