現役中にMBAを取得することに一番意味がある
プロスポーツ選手が現役中から起業することや、学業に勤しむ例は少なくない。NBAレジェンドのシャキール・オニールは、1992年にアーリーエントリーでNBA入りする。最高峰リーグでプレーする傍ら、オフシーズンなど時間を作って単位を取得し、2000年にルイジアナ州立大学を卒業している。さらに2005年にはMBAを取得した。この年、NBAオールスターファーストチームに選出され、翌シーズンにはマイアミ・ヒートで自身4度目のチャンピオンリングを獲得する。コート内外のどちらも全力で取り組み、両方でしっかりと結果をつかんだ。
「NBA:Crossover into Business」というMBA取得プログラムがある。ハーバード大学がNBAと提携し、多額を手にする選手たちが自ら経営できるビジネス専門の教育を受ける機会を作った。これはNBAだけの話ではない。Bリーグ選手に奨学金制度を設けてサポートしているのが「グロービス経営大学院」である。今年6月26日、来年の入学を目指し、MBA挑戦を表明したのが茨城ロボッツの小林大祐だ。
MBAとはMaster of Business Administrationの頭文字を取った略称であり、経営学修士号の学位である。大学院で学べばその学位を取得できるかと言えば、簡単な話ではない。実際、小林はグロービス経営大学院でMBAを取得した宇都宮ブレックスの藤本光正副社長に相談したところ、「現役中に取るのは難しい」と現実を突きつけられた。引退してから勉学に励む選択肢もあるが、小林の考えは違う。
「何かしら自分に負荷を与えながら、現役時代に取得することに一番意味があります。奨学金制度を活用させていただいて、挑戦することを決めました」
目下、9月にある受験を目指して準備をしてはいるが、「なかなか難しい」のが現状だ。今、小林が取り組まねばならないことは3つある。一つ目は、開幕に向けた茨城ロボッツの練習があり、さらに東京オリンピックを目指して3×3の活動も平行して行っている。オンコートの業務に加え、オフコートではグロービス経営大学院の受験勉強や面接に対する対策を練らなければならない忙しい日々を送っている。