※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2017年10月末発行vol.14からの転載
昨シーズン、ロバート・サクレがサンロッカーズ渋谷にやってくるというニュースが流れたとき、あちらこちらから驚きの声が上がった。それもそのはず、同じ『元NBA選手』という肩書でも彼の場合は前シーズンまでロサンゼルス・レイカーズに所属した現役感バリバリの『元NBA選手』なのだ。4シーズンを過ごしたレイカーズにはあのスティーブ・ナッシュやあのコービー・ブライアントもいたし、試合ではあのパウ・ガソル(サンアントニオ・スパーズ)やあのドワイト・ハワード(現シャーロット・ホーネッツ)ともマッチアップしたというのだから、日本のバスケットファンが歓喜したのも無理はない。NBA級のプレーに期待が高まる中、来日したサクレは弾けるような笑顔で「ハロー」と手を振った。「日本でバスケットができることが楽しみで仕方ないよ。一緒にバスケットを楽しもう!」
今シーズンも渋谷でプレーすることに迷いはなかった
サクレを迎え入れた渋谷の選手たちが一様に驚いたのは練習でも試合でも終始変わらぬサクレのテンションの高さだ。特別指定選手として昨シーズン渋谷でプレーした杉浦佑成(筑波大)は「とにかく練習中は大声でずっと叫んでいてびっくりした」と語っていたし、広瀬健太は「練習中だけじゃないですよ。試合でもずっと喋ってます。いつもハイテンションです」と笑う。それを本人に伝えると「そのとおりだよ。僕はいつも叫んでいる。だってバスケットが大好きだし、練習でも試合でもエネルギッシュで前向きな選手でいたいんだ」とまじめな顔で答えた。そもそも試合中の『ハイテンション』はNBA時代から有名で、ベンチを温める時間が長くともそのベンチで飛び上がり、手を叩き、叫び続ける姿はハイライト動画として編集されて話題を呼んだほどだ。
「本格的にバスケットを始めたのは11歳のときだけど、やっているうちにどんどんバスケットが好きになった。将来プロになれる自信はそのころからあったし、そのためにはどんなときもチームを鼓舞する選手でありたいと思っていた。それがどういうチームであっても、アメリカであっても日本であっても自分のスタイルは変わらないよ」
渋谷入りのきっかけの1つになったのは、ゴンザガ大の先輩であるアイラ・ブラウン(現琉球ゴールデンキングス)やジョシュ・ハイトベルト(2013~2015年)が渋谷でプレーしていたこと。「アイラにはいろいろ話を聞いていたので(日本に来ることに対する)不安はなかった。むしろすごく楽しみだったね」と言う。今シーズンも渋谷でバスケットを続けることに全く迷いはなかった。「また彼らと一緒にプレーしたいと思ったんだ。サンロッカーズは自分がやりたいと思えるチームだったし、ホームのような気がした」── 今シーズン、渋谷に合流したサクレはチームメイトに向かって開口一番こう叫んだ。「みんな、ただいまー!」