Photo by Tomikazu NARUKAMI
「今日はオフェンスもディフェンスも、自分たちがやりたいと思っていたゲームができました。普段の練習通りにシュートを打つことができ、それが決まって良かったです。特に意識したことはなく、とにかく練習通りプレーすることを意識しました。チーム一丸となって、ゲームに入れたのが勝因だと思います」
2015年の最後のカード(12/25、26@横浜文化体育館)、横浜ビー・コルセアーズとの1戦目を終えた喜多川のコメントはあくまでも謙虚だった。90-74と大勝し(翌日も92-83で連勝)、この日はゲームハイの21得点。第1Qの出だしで連続ゴールを決め、完全に自分たちのゲームの流れをつくった立役者だったにもかかわらず、だ。
30歳を迎える今シーズン、NBLの強豪・アイシンシーホース三河から、TKbjリーグの琉球ゴールデンキングスへ移籍した。思い切った決断だったはずだが、新天地では求められる役割を淡々とこなし、アイシン三河の頃より多くのプレータイムを獲得している。「特に意識したことはなく……」というのは、記者から質問された、「神奈川県の出身で、ご自身の地元での試合ですが!?」という問いに答えたものだった。
主力として活躍する“静かなる男”は、2015年の締めくくりを生まれ故郷・神奈川で終え、2016年はホームタウン・沖縄で迎える。
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琉球ゴールデンキングスオフィシャルサイト ⇒ http://goldenkings.jp/
──今日の試合(12月25日)は3Pが5/7の高確率でしたが、タッチは良かった?
喜多川:そうですね、タッチは良かったのでチャンスがあればどんどん打って行こうという気持ちがありました。それが、この結果につながった良かったです。
──キングスは他のメンバーも調子を上げてきている印象ですが、その中で自分のポジション(スターター)を確保するのは大変だと思いますが?
喜多川:スタートというのはあまり意識していません。コートに立ったら自分の役割をしっかりこなし、チームに貢献できればいいなと思っています。
(伊佐 勉ヘッドコーチ:「喜多川選手は安定した力があり、スターターとして起用することでチームが落ち着いてゲームに入れます。#14岸本隆一選手はベンチスタートで、しっかり試合の流れを把握してからコートに出ることでポテンシャルを発揮してくれています。ウチのチームはスタメンだからどうこうという意識はなく、単に最初に出る5人だと考えていて、それぞれの持ち味を生かせる起用を考えています。プレータイムを上手くシェアできるチームになってきたという好感触を得ています」)
──来シーズン、TKbjリーグとNBLが同じステージに立ちますが、NBLも経験してきてB.LEAGUに賭ける思いというはいかがでしょうか?
喜多川:そうですね、リーグは違いますけど、NBLの各チームは力がありますから、今シーズン、沖縄でしっかりプレーして、良い結果を出して、来季につなげていきたいと思っています。今日は神奈川での試合で、知り合いの方も観に来てくださっていたので、良いところを見せたいと思っていましたが、喜んでいただけたと思います(笑)ただ、地元だとあまり意識せず、空回りしないように気持ちを抑えて、普段通りのプレーを心がけました。
──第1Qだけで15得点。ゲームの入りはどういう意識だったんでしょうか?
喜多川:コーチからも「最初の5分が大事だ」と言われていました。自分はスタートで出るのが役割のひとつでしたから、自分たちのバスケットをして、自分たちのプレーができるように、そこは意識していましたね。
──リーグが変わり、環境も変わったと思いますが、どういう違いを感じていますか?
喜多川:違いですか!?……難しいですね、ディフェンスの当たりとか、多少違いを感じますが……キングスに限ってはディフェンスをしっかりやって、全員がオフェンスに参加できるようチーム全員で頑張るシステムです。そこはプレーしていて楽しく感じるところです。
──沖縄のバスケ文化、風土の違いは感じますか?
喜多川:アイシン三河でも多くのファンに支えられていました。ただ、沖縄に来てみると、さらに地域に根ざした「自分たちのチーム」という意識が強いように感じています。応援のスタイルもそうですし、ホームコートでのゲームでは常に会場が一体となって一緒に戦っている、そんな雰囲気になります。とても心強いですね。
──そういう環境の中でプレーをすれば、モチベーションも自然と上がりますか? プレータイムも長くなりましたし、(移籍は)良い決断だったと?
喜多川:そうですね、30歳を迎えるシーズンに思い切った決断をしました。今はシューターとして点と取る役割があり、プレータイムも十分に与えられています。もっともっとチームに貢献したいですし、両リーグでの優勝を味わいたいと思っています。
今シーズン、ここまでの成績は24試合に出場し、プレータイムは531分。これはチームの日本人選手として2番目(岸本選手の612分が日本人選手のトップ)。得点Avg.12.0はチーム3位で、日本人選手ではトップとなる。新天地でも持てる力を存分に発揮し、地元・沖縄のブースターから熱烈な声援を受けるシューター・喜多川は、お正月早々のホームゲーム(2016/1/2~3@沖縄市体育館)で会場をヒートアップさせるシュートを炸裂するに違いない。