今回の取材はちょっとした行き違いがあった。『新時代のリーダー論』の特集で表紙を飾ってもらう橋本竜馬に「私服で撮影」という連絡が届いておらず、時間の制約もあることから練習後の撮影をどうするかという話になった。だが、当の橋本竜馬はあわてない。「すぐ私服に着替えてきますから」と言うと、サッと車に飛び乗り自宅に直行。間もなくカッコいい私服姿で体育館に戻って来た。その速やかな対応力、「お待たせしました」と現れたその笑顔がなんと頼もしかったことか。
実はこの取材の時点で橋本は足をケガしており、現在もリハビリに精を出す毎日だ。チャンピオンシップの本番に間に合うかどうかはまだ不明だが、少なくとも本人は「間に合わせてみせる」という強い気持ちでリハビリに取り組んでいるに違いない。
「たとえ敗戦が目の前に迫っていても最後の1秒まであきらめたくない」――それはかつて橋本が口にした言葉だ。たとえコートの外にいようと、シーホース三河の『あきらめないキャプテン』は常に前を向いている。
── Bリーグもいよいよ大詰めとなりました。ここまでのシーズンを振り返っての感想は?
まずこのBリーグ開幕を僕自身がすごく楽しみにしていました。日本のトップリーグが1つになるってことは誰もが待ち望んでいたことでしょ。それは僕も同じです。Bリーグがスタートしたことでバスケットの注目度がアップしたし、そのことで、戦う僕たちのモチベーションも上がりました。そのわくわく感はファンも選手も日本のバスケに関わる人たちみんなに共通したものだったと思います。ただ最初のころは正直、戸惑いもありましたね。
── 戸惑いというのは?
やっぱり初めて戦うbj(リーグ)のチームのこととかわからないことがあったし、対応の仕方も難しかったです。で、そのことに気を取られて自分たちのバスケットを見失ってしまう場面もありました。あと、自分も含め何人か(日本)代表に選ばれていたことでチームを抜けることも多かったのでその影響もちょっとあったかなあという気はします。バスケットは習慣のスポーツじゃないですか。いくら主力メンバーに変動がないといっても誰かが抜けていれば合わせの部分でうまくいかなくなる。最初のころはそういう面でのほころびもあったと思います。
── そういう中でキャプテンとして心がけていたことはありますか?
キャプテンとして…というのかどうかはわかりませんが、僕がこれまで心がけてきたのは『毎日の練習を大切にする』ということで、それは今シーズンも変わることなく貫いてきたと思っています。