Text & Photo by Seiichi Izumi
最後のチャンピオンを決めるTKbjリーグ プレイオフが始まった。ウェスタンカンファレンスを首位で通過し、リーグ最高勝率の41勝11敗(.788)を挙げた京都ハンナリーズは、8位のライジング福岡を2連勝で下し、初優勝に一歩近づいた。
「福岡の選手たちとブースターに感謝したい。相手のプレイオフに懸ける思いが、この2日間の好ゲームにつながりました」
試合後、お揃いのスーツとチームカラーの水色のネクタイを巻き、メガネをかけて颯爽と現れた内海 慎吾選手は、丁寧に感謝の言葉を述べた。
初戦を落とし、後がない福岡は開始早々からプレッシャーディフェンスを仕掛ける。それが功を奏し、開始7分間で14-7とリードを奪った。
「やはり福岡の気持ちがレギュラーシーズンとは別物であり、戦ったことのない新しいチームのように向かってきました」と内海選手は、いつもと違う状況を察知する。
プレイオフはNBAでも、NBLでも、どのリーグでもディフェンスに重きが置かれる。40分間ガマンして守り、流れをつかんで勝利に向かうからこそ締まった試合が続く。ゆえに内海選手が感じたように、レギュラーシーズンとはまったく異なる戦いが強いられるのも必然である。
激しいディフェンスを見せた福岡だったが、不運だったのはファウルを取られてしまったことだ。45本のフリースローを京都に許し、それだけで34点を与えてしまった。結果は91-80で勝利したが、80点の失点に目を向けると、平均失点70.9点の京都にとっては反省材料と言える。
「福岡は、リバウンドやルーズボールに執着心を持ってプレーしていました。いつも以上に点を獲られてしまったのは、いつもなら保持できたボールを獲られていたからです」
初戦は3Pシュート5本すべて決め、15点を挙げて勝利に貢献した内海選手だったが、2戦目は5本中2本の成功にとどまる。崖っぷちに立つ福岡の猛攻にファウルがかさみ、第4クォーター中盤にファウルアウトとなった。修正がきくレギュラーシーズンとは違い、3戦2先勝で決まるプレイオフにおいて、シューターとしての役割や緊張感が違うのではないかと疑問に思う。
「僕自身、自分でシュートを打ちにいこうと思って打てる選手ではなく、どちらかと言えばいつもチームがつくってくれたシチュエーションの中でシュートを打ってるだけです。このシリーズは、たまたま昨日も今日も5本の3Pシュートを打てましたが、まったく打たせたもらえない日もあります。でも、シューターだからシュートを打てなくても仕事をしていないとは思いませんし、今回は打てるチャンスがあっただけ。プレイオフも、レギュラーシーズンも関係なく、シュートを打てる日もあれば打てない日もあるかなぁ、という感じですね」
飄々と語る姿は、大きな局面で3Pシュートを沈めても、涼しげにディフェンスに戻るコート上と変わりない。
シューター内海選手のベースとなる仕事はシュートにあらず。
「基本的にはディフェンスと、ターンオーバーをできるだけ出さないことがベースにあります。これは僕だけに限らず、全選手がやらなければならない、チームとしての約束事です。そこは怠らないようにしています」
高勝率で勝ち上がってきた京都にとって、優勝へ向けてすでに射程圏内に入っているのではないかと聞けば、「まったくないです」と即答された。
「昨シーズンから選手が入れ替わり、今シーズンもけっして順調ではありませんでした。苦しんで、苦しんで、なんとかみんなで勝ち獲ったレギュラーシーズン1位です。圧倒的な1位ではなく、本当にギリギリでした。福岡は8位でしたが負ける可能性も十分にあり得ると考えて、気持ちを引き締めてこのプレイオフに入りました」
京都に移籍し、2シーズン目となる内海選手だが、昨シーズンはカンファレンス セミファイナルで滋賀レイクスターズに敗れ、有明コロシアム行きは未だ経験なし。
「やはりbjリーグでプレーしている以上、有明に懸ける思いは強く、チームメイトの多くが有明を経験しているからこそ、その思いを毎日ひしひしと感じています。みんなが行きたい場所に僕も本当に行きたいです。それは昨シーズンに負けた時から、強く感じています」
今週末、その昨シーズンのカンファレンス セミファイナルで敗れた滋賀を、再びハンナリーズアリーナに迎えてリベンジを目指す。
「昨年は滋賀に負けてますが、僕らも昨年と同じチームではないですし、滋賀も同じメンバーではなく、まったく別のチーム同士の戦いだと思っています。次戦が、滋賀か浜松なのかはまったく予想できなかったですし、どちらが来ても良い試合になると思っていたくらいです」
昨シーズンの王者である浜松・三河フェニックスを破った勢いそのままに、ハンナリーズアリーナに乗り込んでくる滋賀は恐い存在と言える。
「プレイオフに出場しているウェスタン(1~8位)のチームは大差ないです。滋賀が浜松に勝ったこともアップセットだとは思ってません。京都は1位ですが、それが実力差なのかと言えばそうではありませんし、イーブンな気持ちで臨みたいです」
向日市民体育館で福岡を破った後、すぐさまカンファレンス セミファイナルのチケットが発売され、長蛇の列を成していた。そして、ブースターたちは早くも『ワクワクしながら、有明行き』の話に花を咲かせていた。
■TKbjリーグ プレイオフ カンファレンス セミファイナル
京都ハンナリーズ(1位) vs. 滋賀レイクスターズ(5位)
・5月7日(土)18:00
・5月8日(日)14:00
・会場:ハンナリーズアリーナ
http://hannaryz.jp/ticket/playoff2016.html
琉球ゴールデンキングス(2位) vs. 大阪エヴェッサ(6位)
・5月7日(土)15:00
・5月8日(日)13:00
・会場:沖縄市体育館
http://goldenkings.jp/archives/1892
富山グラウジーズ(1位) vs. 岩手ビックブルズ(5位)
・5月7日(土)18:00
・5月8日(日)13:00
・会場:富山市総合体育館
http://grouses.jp/news/2016/04/26/38856
仙台89ERS(2位) vs. 秋田ノーザンハピネッツ(3位)
・5月7日(土)18:00
・5月8日(日)13:10
・会場:仙台市体育館
http://89ers.tstar.jp/
TURKISH AIRLINES bj-league オフィシャルサイト ⇒ http://www.bj-league.com/