5月24日、日曜日。星川堅信は横浜アリーナのコートに立った。その時間は第2クォーター残り32秒から同7秒までの25秒間にすぎず、スタッツは出場時間を除いて0が並ぶ。ただし、300人を超えるB1所属選手の中で、チャンピオンシップファイナルの舞台に立つ権利を得られるのはそのシーズンで30人に満たない。仮にコートに立てなかったとしても、その中の1人となっただけで価値のあることだ。
長崎ヴェルカは、前日のGAME1を2点差で落としていた。もう1つの黒星も許されない、1万3千人が見つめるといったイレギュラーな状況であることを理解しつつ、星川はいつものように冷静さを保ち、己を見失っていなかった。
「前日練習のときは観客の皆さんが入ってなかったので、人が入るとやっぱり違いますし、試合中はそんなに意識はしてないんですけど、客観的に見ると『今日負けたら終わり』という状況で、神経を張った緊張の中でも楽しめたかなという感じはあります。レギュラーシーズンでは感じられない特別なものがありますね」

GAME1の序盤では今シーズンの長崎らしからぬミスが散見された中、馬場雄大だけが通常運転だった印象が強いが、チーム全体が徐々に落ち着きを取り戻していった長崎はこのGAME2に勝利し、CS制覇の可能性を残した。レギュラーシーズンの勝率がB1全体1位の長崎は、クォーターファイナルとセミファイナルをホームのハピネスアリーナで戦うことができたが、今シーズンまではCSファイナルが中立地での開催。ファイナルを2度経験し、いずれも優勝している馬場の存在は、1万3千人の前でのプレーが初めてだった星川にとっても、CS初出場でファイナルまで駆け上がったチームにとっても、やはり大きな意味を持つものだったようだ。
「シーズン中の試合はどちらかのホームなわけで、どちらかのファンが多いですけど、今回はその割合が変わるにしろ、どちらのファンの方も来てくださっている。雄大さんが試合前に、自分たちだけのためにプレーするんじゃなく、長崎のためにというのを強調していて、それで本当にチームのみんなで一つになれたかなと思います」
レギュラーシーズンは44試合に出場し、1試合平均出場時間が7分8秒。コートに立つ時間が1分未満だった試合も少なくなかった。移籍初年度の今シーズン、一躍強豪となった長崎において、主力級の出場機会を確約されていないということは、おそらく星川自身もわかっているだろう。GAME1では出番がなかったものの、GAME2でモーディ・マオールヘッドコーチから名前を呼ばれると、星川は普段と変わらないメンタリティーでベンチから立ち上がることができた。

「プレータイムがないときももちろんありますけど、試合に出たらチームから求められることを発揮できるように、そういう準備は毎試合してきたつもりなので、それを発揮するだけ、自分の価値を発揮するだけだなと思ってコートに入りました」
オールラウンダーが居並ぶ長崎の中で、星川はチームに貢献し得る自身の役割があることを理解し、そのチャンスに備えてきた。チームの雰囲気を一変させる、試合の流れを引き寄せるというような強い意識を持って臨んだわけではなく、ただ自身の役割を全うすることだけに集中していた。











