トーナメント形式のインターハイは負ければ終わり。しかしインターハイで負けても、次がある。国体は年齢制限をされているにせよ、ウインターカップで借りを返すことができるのだ(もちろん予選を突破しなければならないという注釈は付くが)。インターハイで “敗れてもなお”、目に留まった選手、チームを紹介していきたい。
「誰、あの子? あんな子、能代カップのときにいた?」
旧知のライターが話しかけてきた。
「いや、知らないんですよ。いましたっけ?」
「いなかったよねぇ」
ゴールデンウィークに取材をさせてもらった能代カップで、出場チームの選手にはたいてい “あたり” をつけていたつもりだった。
エントリー変更になった選手についても、多少はコーチが「今回はいないけど、彼がいるとね……」なんて話も出してくれる。
そのためインターハイで見つければ、ああ、彼があの選手か、となるのだが、彼はまったくのノーマークだった。
県立能代科学技術高校2年、#14 大髙琉翔(おおたか・りゅうしょう)。
身長187センチはけっして大きいほうではない。
能代科技にだって彼より大きい選手はいる。
しかし献身的でいて、かつ、球離れがいい。
パスのスキルも、そのサイズにしては、けっして低くない。
ドライブもできるし、本人曰く「ジャンプシュートが得意」らしい。
能代カップのときは足首をケガしていて、エントリーされていなかったそうだ。
しかし復帰するや、インターハイでもスタメン出場を果たしている。
何かが突出しているわけではない。
派手さもない。
しかし、能代カップで見つけられなかった自省が働いたのか、どうにも目が行く。
いや、実にいいポジションにいるのだ。
気づくとフリーのポジションでボールを受け、スペースを見つけてドライブをする。
もしくはチームメイトにパスを散らす。
それもビハインドパスなんかをして。
しかもその動きにぎこちなさはない。