エイプリルフールになると、嘘が世界を彩りだす。
なかには心ない嘘で人を傷つけてしまうこともあるけれど、大半は微笑ましく他愛のないものばかりで、人々の心を少しだけ潤してくれる。
一部にはこの日を待ってましたと言わんばかりに壮大な嘘を仕込み、世間をあっと驚かせるような英雄が現れるようなこともしばしばある。
芸術の域に達するような嘘を見るにつけ、自分も来年こそは気の利いた嘘で伝説になりたいと意気込み、4月の2日にはすっかり忘れている。
一度、認知症の検査でもしたほうがいいのかもしれない。
どうやら僕にとっては一年という準備期間は長すぎるうえ、銀河の英雄となって自由惑星同盟のために血を流す心意気もないようなので、4月1日に世界を制するような嘘は諦めて、嘘のようなホントの話を皆さんにお届けしたいと思う。
できれば4月中にこの話が公開されていればと思うが、それだって別にこだわらない。
だって、これから話すのはただの世間話みたいなもので、1年中いつ話したって構わないものなのだから。
僕という人間がガラケー使いの原始人であることは、以前にこのコラムでもお伝えしたとおりだが、実は、僕は以前からSNSをやっている。
しかもなんと、ツイッターとインスタグラムの2つでアカウントを持っている。
誤解のないように言っておくと、ガラケーでチマチマと手動更新しながら楽しんでいるとかそういうことではない。
賢明な読者諸君は、僕がiPadを活用している写真をご覧になった時点で察しがつくようなこともあったかもしれない。
しかし、僕の周りの人間はこの事実を公表するとまあまあ驚いてくれる。
きっとガラケーという石器時代のアイテムが強烈なインパクトを生み出し、僕のITリテラシーがど底辺である刷り込みを生じさせてしまうのであろう。
原始人キャラで売り出すことがスマホに変えない理由ではないのだから真相を話したところでなんら問題はないけれど、話のネタとしては盛り上がりがちなため、自分から打ち明けることはなかった。
こういう風なことを同業者に言うと、「自分は正体を明かさないばかりか、さてはファンになりすまして俺たちの動向をこっそり伺い、影でほくそ笑んでいるんだろう。この卑怯者!」みたいな論調になったりするけれど、そんなことも全くないので安心して欲しい。
ツイッターは自分が興味を持つ分野の情報収集のツールとして、インスタグラムは自分の写真に対する生の反応が知りたくて活用しているので、本業に関する情報はおろかマッソウの「マ」の字も出てこない。NBAにペリカンズという謎めいたネーミングセンスのチームがあることも、岸本という同僚に最近教わって知ったくらいだ。