part1「実は2人とも○○なんです。」より続く
打ってきたという自信が無心を呼び込む
3ポイントシュートを武器に、所属するJX-ENEOSサンフラワーズの勝利に貢献する宮澤夕貴選手と林咲希選手。しかしその経歴を紐解いていくと、実は2人ともインサイドプレーヤーからのコンバートであることがわかった。第2弾となる今回の対談では、シュートレンジを伸ばすための努力を重ねた2人に“アウトサイドシュート”についても語ってもらった。
── インサイドからアウトサイドへのコンバートってシュートの距離も異なります。そこへの対応はどうでしたか?
宮澤 徐々に伸ばしていったという感じですよね。3ポイントシュートを打ち始めたのがJX-ENEOSの5年目から。それ以前から3番をやり始めていたんですけど、それまでは3ポイントラインの一歩内側……3ポイントラインの外側に立って、そこから一歩中へミートして打つ感じでした。今考えるとヤバイけど……(笑)。
林 それはヤバイ(笑)。
── ほぼ同じ距離だったら3ポイントシュートのほうが「期待値が高い」という考え方ですね。現在の女子日本代表でも「ロングツー(距離の長い2ポイントシュート)は打たない」方針だとか。でも3ポイントシュートと2ポイントシュートを分けるラインはほんの数センチです。宮澤選手にはその数センチが大きな壁となっていたと。
宮澤 難しかったですね。4年目のシーズンの途中から3ポイントシュートを練習していたんですけど、ジャンプシュート(2点)と3ポイントシュートはボールを離すタイミングが違うので、3ポイントシュートを練習していたらジャンプシュートが入らなくなってしまったんです。だから、そのシーズンは途中から3ポイントシュートを打つのをやめました。練習ではコーナーから10本中8本とか決まっていたんですけど、試合でそれを打つ自信がなかったので、これはやっちゃだめだなと。でも5年目はコーチからも「次は3ポイントシュートだな」って言われていたので、逆に一歩前のジャンプシュートを全部やめて、3ポイントシュートだけにしました。
林 私としては2ポイントシュートも3ポイントシュートもそんなに変わらないんですよね。大学のときも近くから打って、だんだん外に広がっていく練習をやっていたから、2ポイントシュートと同じ感覚で3ポイントシュートも打とうという感じでやっています。ただ今はココ(3ポイントラインの一歩内側を指さして)で打っちゃいけないっていう感覚があります(笑)。3ポイントラインの外でもラインに近ければ近いほど確率は高くなります。ギリギリだとほぼ入る自信があるんですけど、そこから足ひとつ分外で打つとちょっと力が入るし、シュートも入らなくなります。
宮澤 わかる、わかる。
── 遠いから力んでしまう?
林 無心でプレーしているときはいいんですけど、調子が悪いときは「ウッ」ってなります。一瞬なんですけど「ちょっと遠い」って頭をよぎって、いつもと違うシュートになってしまうんです。
宮澤 ワンハンドシュートだと、その少しの距離でもだいぶん違ってくるんですよね。だから私はラインから離れたところではあまり打たないんです。調子がいいときは打つこともあるけど、調子が悪いときは絶対に打たないですね。練習でもそうだし、実際の試合でも今日はダメだと思ったら、プレーの組み立てを考え直します。シュートが入らないときって本当に打った瞬間にわかるんですよ。