part4「苦しむチームを引っ張り上げるのはベテランの仕事」より続く
バスケットのプロとして今もプレーできることは幸せ
── 毎年、リーグには若い選手が入ってきます。今では特別指定選手として大学生や高校生の選手がコートに立つことも増えてきました。ポイントガードとしては福岡第一高校の河村勇輝選手の活躍も大きな話題になりましたが、それについてはどんな感想をお持ちですか?
柏木 若い選手でも巧い選手はいっぱいいますよね。河村くんを見ていてもシンプルに「巧いなあ」「すごいなあ」と思います。けど、河村くんが仮に大学を卒業してプロに入ってきたとしたら、僕はもうトシ取っちゃってますからこの先張り合うこともないだろうし(笑)。単純に一ファンとしてこれからの活躍を楽しみにしてるって感覚ですね。
五十嵐 僕は真介とはちょっと違ってて、昔から同じコートに立ったら1歳でも100歳でも関係ないと思うタイプなんで、戦う以上は負けたくないですね。自分の年齢と若い子たちの年齢を考えると、ああ自分もトシとったなあとは思いますけど(笑)。そこでケチョンケチョンにやられるようなら自分もそろそろ引退かなあと思うかもしれませんが、まだ今は負けたくないっていう気持ちの方が強いです。その気持ちがあるうちはまだ(バスケットを)続けたい。もう少し頑張ろうという気持ちになりますね。
── 若い選手を見て「まだまだだな」と思ったりすることはありますか?
柏木 それはありますよ。1人の選手としては高いスキルを持っているけど、ゲームになると「まだ若いな」と思うことはあります。それはたぶん自分も通ってきた道なんでしょうね。
── お2人が大学を卒業したころに比べてバスケット界も大きく変わりました。それを実感することはありますか?
五十嵐 そうですね。バスケット界が変わったなあという実感はあります。バスケットは僕が子どものころから大好きで続けてきたスポーツですが、それがBリーグの発足とともにプロ化されました。それってものすごく大きなことでしょ?今までも自分はバスケットを職業にはしてきましたけど、世間一般でどれぐらいの人がそれを理解している、認知しているかといえば、ほとんどいなかったんじゃないかと思うんですよ。それがBリーグができたことで一気に変化しました。バスケットにもプロ選手がいるんだということが広く認知されるようになったわけです。ようやくですね。
柏木 そういう環境の中でバスケットができるようになったのはやっぱり幸せなことだと思います。
五十嵐 やりたくてもできない人がたくさんいる中で、僕たちは好きなバスケットを仕事にできているんだから幸せだよね。
柏木 40歳と39歳で(笑)
五十嵐 そう、40歳と39歳で(笑)。前はまさかこんなトシまでできるとは思っていなかったけど、できているっていうのは幸せ。だからこそポイントガードとしてもっと巧くなりたいと思うんだよね。そういう気持ちが体を動かしているのかもしれないし、生活のリズムを全部バスケに合わせてやっていけてるのかもしれない。
── なんかしみじみしてきました。
五十嵐 ハハハハハ(笑)