アメージングな全米制覇
2017年にナイジェリア代表としてアフロバスケット(アフリカ大会)に出場したが、アメリカで生まれ育ったダニエル・オチェフ(国籍はアメリカ/ナイジェリア)。物心もつかないときからバスケに触れはじめる。なによりも「子どもの頃から本当に大きかったんだ」。バスケの申し子は順調に育ち、全米トップ10にランクインする名門ウエストタウン高校でその才能を開花しはじめる。特筆すべきはビラノバ大学時代だ。世界を熱狂させるマーチ・マッドネス(全米大学選手権)でチャンピオンになった。「アメージング!本当にアメージングのひと言に尽きるよ」。
「ビラノバ大学は素晴らしい環境だった」とオチェフは回顧する。「ファンダメンタル(基礎)をとても重視するコーチであり、細かいところまでしっかりと教え込んでくれた。オフ・ザ・コートでは人として素晴らしい振る舞いをするように、と常に強調していた」というジェイ・ライトヘッドコーチの教えは、プロになった今こそ生かされている。
バスケに関する細かい点については「例えば、ブロックのハッシュマークの1つ目でしっかりスクリーンをかけなさいとか、またはスペーシングやタイミングなど本当に細かく教えてくれた。ビデオでレビューするときも毎回スローにして、このタイミングで、このバランスでやらなければならないなど、自分のミスを明確に指摘してくれた」ことで年々成長していった。
ビラノバ大学での1年目こそ平均17分の出場時間だったが、その後は20分以上コートに立っている。2年目の平均5.7点から翌年は9.2点へ、4年目は10点に右肩上がりで増え、さほど変わらないプレータイムの中でもしっかりとスタッツを伸ばしていく。その成長過程について聞けば、ライトヘッドコーチは「プロセスに重きを置く指導者」だとオチェフは言う。
「1年目にチャンスを与えてくれたときに、しっかりとパフォーマンスを見せることができた。2年生はスタートで出ることになり、自分のハードワークが報われたと感じたんだ。自分のがんばりがゲームに生かされてきたことで、毎年スタッツが上向いて行ったことにつながっていた」というプロセスが実を結んでいった。