part1「13歳で認められたバスケットの才能」より続く
バスケットのキャリアを磨くだけではなく、日本の文化を学びたい
川崎のシーズン開幕戦となったのは10月3日の宇都宮ブレックス戦だった。78-59で快勝したこの試合でカルファニはスターティングメンバ―として出場し31.57分プレー。川崎の武器ともいえるディフェンスでは豊富な運動量を発揮し、攻めては広い視野を生かして得点チャンスをクリエイトした。ここでも光ったのは『フォア ザ チーム』の姿勢。その働きは10得点、12リバウンド、4アシストのスタッツを上回るものだったと言えるだろう。もっとも彼のこの仕事ぶりは佐藤賢次ヘッドコーチにとっては『想定内』だったかもしれない。オフシーズンに新しい外国籍選手の情報を集めていた佐藤ヘッドコーチはアルゼンチンでプレーするカルファニを見て思わず身を乗り出した。「ハードワーカーであること。ディフェンスにプライドを持っていること。チームプレーヤーであること。私が求める選手の要素を彼はすべて兼ね備えていました」。獲得に成功し、来日したカルファニが初めて練習に参加したとき、佐藤ヘッドコーチの評価はさらに上がる。「コンディションがまだ万全ではない状態でも彼はすばらしいパフォーマンスを見せてくれました」。バスケットIQが高いのはもちろんだが、大きいのは「勝ち方を知っていることだ」と言う。「これまで数々の優勝体験をしている彼のキャリアを見れば当然といえば当然なんでしょうが、勝つためには何が必要なのか、どういったことをすればいいのかを彼は知っています。それをうち(川崎)に持ってきてくれたことは大きい。そういう意味でも数字に表れないところでの貢献度は絶大だと思っています」
一方、来日して初めて川崎の試合を見たカルファニもまたチームに好印象を持ったと語る。「練習試合だったんですが、川崎は40分ずっと走るバスケットを展開していました。速いバスケット、走るバスケットというのが最初の印象です。見ているうちに気持ちがわくわくしてきて、早くこのチームに合流したいと思いました」。それから数か月が過ぎた今、練習、試合を通して感じるのは『チームに溶け込んでいる自分』だ。
「このチームの特徴はどんなことでも何か問題があったらすぐに話し合うことです。解決策をみんなで考えようとする。全員が同じ方を向いて努力することはすごく重要なことで、優勝を目指すチームにとって不可欠だと思います。そういう輪の中にいると、自分もこのチームの一員として頑張ろう、このチームで優勝しようという気持ちが沸いてきます」