シーズンオフに発表される移籍情報の中でも橋本竜馬の『レバンガ北海道に加入』はまさにサプライズだった。レバンガ北海道の昨シーズンの成績は10勝50敗で東地区最下位(リーグ全体では18チーム中17位)。1年間プレーし、西地区優勝の歓喜も味わった琉球ゴールデンキングスを離れ、なぜ今、北海道に?そんな疑問を感じたファンも多かったのではないだろうか。一方、北海道帯広市出身の“道産子選手”として長年チームを牽引してきた多嶋朝飛は今回の橋本の移籍をどんな気持ちで受け止めたのだろうか。同い年、同じポイントガードとして心がざわつくことはなかったのか。
決意を持ってやって来た者、覚悟を持って迎え入れた者。忌憚なく語ってくれた2人の言葉から伝わってきたのは『力を合わせてレバンガを変えていく』という強い意志だった。
2人にとってチャレンジのシーズン
── まず最初に橋本さんにお聞きします。今シーズンレバンガ北海道に移籍することを決めた理由を教えてください。
橋本 僕はこれまで大濠(福岡大附属大濠高校)、青山学院大、三河(シーホース三河)、琉球(ゴールデンキングス)と、強いチームでプレーさせてもらっていたのですが、心のどこかに今まで自分が経験してこなかったことをやってみたいという想いがありました。そんなときレバンガの折茂(武彦)さんから電話をいただいたんですね。
── 折茂社長から直々?
橋本 そうです。「うちは今、厳しい成績だが、B1の中で戦うチームとして変わっていかなければならない。そのキーパーソンになってもらえないか」と言われました。正直それまではレバンガに移籍することは全然考えていませんでしたが、折茂さんのお話を聞いて自分の中にチャレンジしたいという気持ちが湧いてきたんですね。これから強いチームを目指していく課程で、自分もその一員になれることに魅力を感じました。
── 橋本選手の加入について多嶋さんはいつごろ知ったのですか?
多嶋 噂はいろいろ聞いていましたが、竜馬が本当に加入すると知ったのは正式発表の少し前ぐらいですね。一足先に北海道の新聞に載ったのを見て、ああ確実に決まったんだと。
── そのときの率直な感想は?
多嶋 同世代で同じガードですから、一瞬「えっ」となりましたが(笑)、僕と竜馬は同じタイプではないし、お互いの良さを出せるようになればおもしろいんじゃないかと思いました。
── そうは言うものの、レバンガを長い間引っ張ってきたガードとしては心穏やかではない部分もあったのではないですか?
多嶋 うーん、そうですね。たしかに心穏やかではない時間はありました。でも、それは竜馬がどうこうというのではなく、これからの自分について考えた時間ですね。初めて同世代のガードと一緒にプレーすることになった中で、自分をどう生かしていけばいいのか、どう生きていくかを考えました。さっき竜馬がレバンガに移籍することは自分にとってのチャレンジだと言いましたが、それは僕も同じなんです。竜馬とプレーすることで互いに刺激を与え合い、もらい合い、それをチームのプラスにすることは自分のチャレンジだと思っています。