チェコ戦後のプレスルーム。
バスケット・カウントのマルヤマくんがこう言ってきた。
「今日も『ようこそ』ですね」
前回のコラムを読んでくれていたようで、今日も「ようこそ、ワールドカップへ」と思わせる内容でしたね、というわけだ。
「そうだね、今日もそれだったね。いや、実はボクも『やっぱり、今日も……』というタイトルにしようと思っていたところなんだよ」
「いや、それ、いいと思いますよ」
ワールドカップの1次ラウンド第2戦。日本はチェコに76-89で敗れた。
2連敗である。
その時点ではまだ2次ラウンド進出の可能性を残していたが、アメリカが……あのアメリカがトルコにオーバータイムへ持ち込まれながら何とか振り切ったことで、その可能性は完全に絶たれた。
日本は次のアメリカ戦を終えると、17-32位決定戦へと進むことになる。
確かにチェコはグループEにあって、日本が最も勝てる可能性のあるチームだった。
元NBAプレーヤーで、ユーロリーグでも活躍するエース、ヤン・ヴェセリーがケガのために出場できなくなったこともそう思わせるひとつの要因だった。2016年にセルビアでおこなわれたリオデジャネイロオリンピックの世界最終予選(OQT)で対戦し、敗れはしたが71-87だったことも、もしかしたら
「八村塁と渡邊雄太、ニック・ファジーカスの“ビッグスリー”が加わったのだから(渡邊はOQTにも出場していたが)、今回はイケるんじゃないか」
と思わせる、もうひとつの要因だったように思う。
しかしチェコが「最も勝てる可能性のあるチーム」と言っても、けっして容易に勝てる相手ではない。トマーシュ・サトランスキーという現役のNBAプレーヤーもいるし、それ以外の選手もバスケットが盛んなヨーロッパで日々もまれている。
「僕はいませんでしたけど、何十年ぶりかにアジアを突破してOQTに出たのが2016年のメンバーでした。そこで久しぶりに世界を感じて、これから成長していかなければいけないと感じた(OQTでの)ラトビア戦(48-88で敗戦)であり、チェコ戦だったと思います。(今日のチェコ戦は)そこからの3年で日本がこれだけ成長したんだと結果で示したかったです」
キャプテンの篠山竜青はそう言うが、3年間で成長を目指していたのは日本だけではない。チェコもまた、ヴェセリーやサトランスキーだけではないチームになろうと模索し、日本代表と同じように努力を重ねていた。
日本代表の選手たちも、もちろんフリオ・ラマスヘッドコーチだって、そんなことは百も承知の上で勝利を目指していたはずだが、やはり勝利はそうやすやすと手に入るものではないらしい。
そのことを改めて認識しておきたい。