※本記事はバスケットボールスピリッツのWEB化に伴う、2018年11月発行vol.27からの転載
日本のバスケを盛り上げたい、と毎回熱いコラムを寄稿するNATIONS平将貴氏。今回は3×3で東京オリンピック出場を目指す矢野良子選手を迎えたスペシャルトーキング。知られざる女バスの日常、そしてまだまだ知られていない3×3の現状に迫ります。
Wリーガーの1日(矢野良子スペシャルバージョン)
平 今回(2018年11月発行のバスケットボールスピリッツvol.27)はWリーグ特集ということで、その裏側を聞かせてください。施設面の環境が整っていたWリーグ時代はどれくらい練習してましたか?
矢野 寝てる時間以外(笑)。
平 Bリーガーではありえないのでは?
矢野 ありえないと思うし、私もありえない時代を過ごしてきたなって思います(笑)。でも、先輩たちは私よりもっとやっていた時代でした。
平 ちなみに1日のスケジュールは?
矢野 リーグ中は月曜が休み。火~金は練習で土日が試合。チーム練習は午前が10~12時、午後が3~6時。朝7~8時のシューティングも全員参加なので事実上のチーム練習かな。私の場合は、その前の6時からコーチと一緒に瞬発系の練習をしてました。ん?これは今も変わってない(笑)。朝練、午前、午後がチーム練習の基本。それに加えて朝朝練、朝練後、午前練習後、午後練習前、午後練習後、夕飯を食べてからの夜練。夜11時消灯なのに10時55分前まで練習して、ダッシュでお風呂に入る。5分でどうやって寝る準備しろって言うんだぁ、っていうね(笑)。JOMOでの3年目まではそんな感じでした。
平 半端ないですね…(笑)今でもWリーグのトップ選手は同じくらいの練習量でやってるんですか?
矢野 今は朝練がある時点でブーイングが出ます(笑)。
平 じゃあ、時間的な総量は減っている?
矢野 今紹介したのはあくまで私の個人的なスケジュールですから。
平 普通、それだけ練習したら身体が壊れるような気がしますが?
矢野 昔の人は強いよね、壊れない(笑)。今ほど、前十字靱帯を切るようなケガ人もいなかったです。食べ物が変わったのもあるかもしれません。逆にプレースタイルがアメリカ風になってきているのに、日本人の体のままそれを真似しているからケガをしてしまうのかなぁとも思います。本当に基礎的なトレーニングをしながら、ケガをしない体作りをしていたんだと思います。オフにはマット運動をしたり。何が正解かは分からないです。
平 ちなみに、毎日どれくらいシュートを打ってましたか?
矢野 1日500本。
平 もちろんイン?
矢野 当たり前!打つだけだったら誰でもできるでしょ(笑)。その500本も3Pシュートだけ。それを達成するためにも練習の合間を埋めていかなければならず、結局は寝る時間以外は練習になってしまったわけです。
平 確率は何割くらい?
矢野 最初は散々で倍ぐらい打っていました。5割ですが、毎日1000本ほど打つわけだから、消灯ギリギリまでかかってました。さすがに今は500本も打たないけど、200本ぐらいならば調子が良ければ20分程度で終わるからバァーッて打つこともあります。打つことでタッチの良さを確認し、自分自身を納得させることができます。
平 Bリーグのクラブの中には、施設の問題が大きくそもそも自由に練習できる環境がないのが大きな違いだと感じますが?
矢野 環境がないという状況だけで言えば、今の私と変わらないです。でも、探せば練習する場所はいくらでもあります。