開幕時、出番こそなかったがウォームアップでは元気な姿を見せた。翌週10月19日、シャンソン化粧品シャンソンVマジック戦で復帰を果たす。3週目の富士通との第2戦、先発に返り咲き、12点の活躍でディフェンディングチャンピオンに85-73と勝利。3度目の富士通戦へ向け、「ずっと勝ちが続いているチームですが、自分たちが1勝しているのを自信に変えて、最初から自分たちのプレーはできたと思います。攻めるディフェンスができたことで、オフェンスの入りも良い流れで持っていけました」と39分間は理想どおりだった。しかし、結果は3点差の逆転負け。「いくら惜しい試合だったとしても、やっぱり勝たなければ意味がないと思います。このまま負けが続いていってしまうと、自分たちにとって上がるものも上がらない。いくら内容が良くても、最後まで勝ち切りたい。そこがまだ足りなかったです」と星は現実を受け止める。
「打った3ポイントシュートは全部決めたい」と、より得点に絡むことを今シーズンは意識する。その確率を上げるだけではなく、「攻撃の起点になることを目指しています」と続け、ドライブやアシストでのチャンスメイクも役割とする。ティム・ルイスヘッドコーチは練習中から様々なラインナップを試し、先発を固定することなく調子の良い選手を試合に送り出しながらチームを底上げする。「誰が出てもやることは一緒ですし、スタートでも途中から出ても役割は変わらないです」と星も自信を持って仲間たちと一緒にステップアップに勤しむ。2シーズン前に優勝したが、その伝統や歓喜を知る選手も減ってきた。生え抜き6年目の星の立ち位置も変化が見られている。
「ユラさん(宮崎)と(長岡)モエコさんというチームの顔がいて、そこに少し頼りすぎていたと思います。これまではプレーで引っ張って行くことが正しいと思っていましたが、やっぱり言わなければ伝わらない。私が言うことによって、先輩たちの負担も軽くなると思うので、もっと自分から発信していきたいです」
ポーカーフェイスの裏側にメラメラと闘志を燃やす星の性格を聞けば、「負けず嫌いではあると思います。でも、それを良い方に変えなければいけない。ムキになるのとは違うし、ケガをして悔しい思いをしたからこそ、思いっきりプレーで返したい」と冷静にチームを勝利へ導くENEOSのキーパーソンである。悔しい逆転負けの後、「プレーオフに出なければ話にならないし、負けが続いているのでしっかりとこのゲームを見直して、明日は絶対に勝ってこの連敗を断ち切りたいです」という言葉どおり、富士通に2つ目の黒星をつけた。
12勝8敗、1月19日の試合時点で3位。2位のデンソー アイリスは15勝5敗の3ゲーム差。一方、下を見れば1ゲーム差で、前節に2連敗を喫したシャンソンが追い上げてきている。今シーズンより8チームのプレミアに変わったことで、上位4チームしかプレーオフに出られない。シャンソンとの直接対決はすでに終わっており、1勝3敗で負け越したが、2月7日より横浜武道館で開催する「大樹生命 W リーグ ユナイテッドカップ2024-25 ファイナルステージ」の初戦で当たる。タイトルを獲ることで、常勝軍団復活のきっかけにしたいと星は考えていた。
「皇后杯は負けているので、もちろんユナイテッドカップは狙っています。しかも初戦は、すでに3敗したシャンソンが相手。もう一発勝負だから、気合いを入れてがんばります」
ユナイテッドカップの初戦に勝てば、2勝2敗の富士通との5度目の対戦が待っている。
文・写真 泉誠一