しかし後半、逆転を目指すアイシンの出鼻を挫くようにインサイドからイゾジェ ウチェ、そして吉田舞衣の3ポイントシュートを許し、開始早々41-52とふたたびシャンソンに二桁点差と引き離されてしまった。今シーズンのアイシンは、負けたくない気持ちを出せるようになったことが大きな変化であり、最後までその姿を見せる。シャンソンの得点源である188cmのウチェに対し、守るのは181cmの山口奈々花または、10cm低い梅田彩香だった。「前半はウチェ選手を6点に抑えられたのも良いディフェンスであり、選手たちのがんばりが見えていた」と梅嵜ヘッドコーチは評価する。最終的に15点、12リバウンドと平均を下回る結果は及第点だった。
79-85、6点及ばずに初戦敗退となったが、「まずコートでやるべきこと、自分がやりたいことをどう出していくかを、この1年間は自分の中ですごく悩んでいました。うまくいかない時ももちろんあったんですけど、それが今回のプレーオフで少しは打破できたかなって思います」という峰晴は4本の3ポイントシュートを含む21点を記録し、大きな自信を手にした。
シャンソンとは今シーズンの開幕戦で65-92、63-80と点差を離され、2連敗。ラストゲームも同じ相手だったことも、シーズン中に積み上げてきた成果を知る機会にもなった。
「26戦してきた中でチームとして徹底できる部分はたくさんありました。コートの中での声がけやベンチから鼓舞する大きな声、先輩たちがいろいろ教えてくれたことも自分自身の成長につながったと思います。足りない部分はたくさんあったかもしれないけど、開幕戦と比べれば点差もそうですし、内容も同じではなかったので、確実に前へ進んでいると思います」(峰晴)
9位の三菱電機コアラーズとは2ゲーム差で8位に滑り込んだ。8年ぶりのプレーオフ進出だけではなく、来シーズンから2ディビジョン制となり、8チームによる上位リーグのWリーグ プレミアへの参戦権利もアイシンは勝ち獲った。今後、プレーオフへ出られるのは4チームと狭まる。梅嵜ヘッドコーチは「チームはまだまだ完成しきっていない」と述べ、この経験を収穫としてふたたびプレーオフに立つためにも、ステップアップしていかなければならない。峰晴も大きな壁をしっかりと見上げていた。
「シャンソンもそうでしたが、その先に待ち構えていた上位の強豪チームに勝っていくためにも、私たちの徹底力の甘さやまだまだ弱い部分がたくさんありました。個人としても、それこそチームとしても準備不足があったかもしれません。まだまだできることがあったかもしれないけど、その弱さを受け止めて次にステップアップできるようにプレーオフも、レギュラーシーズンの戦いもしっかりと振り返って、次につなげていきたいです」
苦しい状況でも、峰晴は常にコート上で笑顔を見せ、その度に強くなっているようだった。
文・写真 泉誠一