「白鷗大学のときは上級生になってからずっとスタートで試合に出て、自分が引っ張っていました。でも、ENEOSに入団した当初は相手チームのレベルも数段上がったことで自信がなくなってしまい、消極的なプレーばかりになっていました。練習からユラさん(宮崎のコートネーム)とずっとマッチアップしてきたことで少しずつ慣れて、自信がついてきたのかなと最近ようやく思えてきたところです」
これまでENEOSのルーキーは、それほど多くのプレータイムが与えられてきたわけではない。星は4年目の昨シーズンから、高田は今シーズンから安定した活躍ができはじめたばかりだ。スター軍団の中に入り、練習から積み上げてきたことで力が発揮できる。急きょ訪れたチャンスに対してルーキーは、「自分がやらなければいけない」と一気にギアを上げ、少しでもチームに貢献できるよう心がけてコートに立っている。
「ディフェンスでプレッシャーかけることはいつも言われており、毎回徹底するようにしています。ユラさんの交代で出るのですが、ゲームコントロールの部分はまだまだです。そこで落ち着いて指示を出せるようにならなければいけないですし、やっぱり遠慮していたらミスも多くなってしまいます。強気で攻めたり、シュート打ったり、自分から発信していけるようにしたいと思っています」
デンソー戦では、1年先にWリーグで活躍する東京医療保健大学出身の木村亜美と対峙した。「今年は代表候補に選ばれ、昨シーズンからスタートで起用されているので経験が豊富です。いつもすごいな、と思って見ていました。でも、自分も少しでも追いつけるようにディフェンスで嫌がらせたり、強く攻めることでファウルをもらって相手に嫌だなと思わせたりするようなプレーを心がけていました」と鈴置は話し、大学時代から続くライバル同士のマッチアップがWリーグでもはじまった。
今年度のインカレで7年ぶりに日本一となった白鷗大学だが、鈴置が在籍していた昨年まではずっと決勝で敗れてきた。「トップチームであるENEOSに入れたからこそ、絶対に優勝したいです」とまだ見ぬ頂点への憧れは人一倍強い。
現在3位のENEOSだが、1位トヨタ自動車アンテロープスと2位富士通レッドウェーブと同じ21勝3敗。今週末3月16日・17日の最終節は、福岡でトヨタ自動車との直接対決が待っている。接戦必至のカードだからこそ、鈴置がさらなる殻を破るチャンスでもある。
文・写真 泉誠一