そして、3人が揃って強調するのは、チームとして戦っているという点だ。チームの方向性を全員が認識し、個々の役割も互いに理解していることが、今の結果を生んでいる。3ガードというラインアップも、チーム全体の共通理解の中で成立しているという点で、3人の意見は一致する。
「ディフェンスは上の3人に限らず、ビッグマンもしっかり我慢して、お互いが協力し合いながらできてると思います。3ガードも機能してるときとしてないときは正直あると思うんですけど、交代で出てくる選手も良い選手ばかりなので、その日調子の良い選手は絶対に出てくるし、3人がというよりも全員がやることを明確にしているので、みんなで協力する良いチーム作りができてるんじゃないかなと思います」(安間)
「良いときは爆発力のあるチームで、3人に限らずシューターには平下や梅木(千夏)もいるので、いろんな組み合わせが生きてくるシチュエーションも多いと思います。誰が出ても同じようにやれるのが強みだと思うし、1つ落としましたけど、ここまで勝ててるのはその成果かなと思います」(川井)
「ディフェンスの理解は3人とも高いと思うので、それがチームディフェンスをする上での武器にもなってると思います。今日に関しては、3人が思い切って自分のプレーをやり通したと思いますし、そこに周りがしっかり合わせてくれたことで、良いゲーム展開になったと思います」(山本)
レギュラーシーズンはまだ8試合残っており、その先にプレーオフがある。川井は「シンさん(大神HC)もたぶんそう思ってると思うんですけど、イメージしてる完成形にはまだまだ遠いんじゃないかなと思うので、やれることも重ねていけることもまだたくさんある」と語り、さらに連係を高めていこうとしている。
「3ガードになるとサイズは落ちるので、リバウンドも弱くなるんですけど、そこで自分たちがコンタクトすることだったり、激しいディフェンスから走れるかというのがキーになると思います。ディフェンスはもっとアグレッシブになれると思うので、3ガードになったときはそういうバスケットをしたいです。もっともっと走って、コントロールするときはコントロールするというメリハリのあるバスケットができると思ってます」
海外を経験し、大神HCも「まだ20代だけど最年長で、日々の準備力からすごくプロフェッショナル」と一目置く安間と、昨夏に日本代表として国際試合デビューを果たして自信を増した川井、そして3人の中では最年少ながら「トヨタでずっとやってきた自分がリーダーシップを取らなきゃ、強いチームに勝っていけない」と強烈な自負をのぞかせる山本。覇権奪回を狙うトヨタ自動車を引っ張っていくのは、この3人だ。
文・写真 吉川哲彦