Wリーグ参入初年度は4勝22敗で、14チーム中13位という成績に終わった姫路イーグレッツ。2シーズン目となる今シーズンも苦戦を強いられ、第8週を終えた時点で2勝14敗と、黒星が大きく先行している状況だ。
しかし、1月2日に行われた代々木第二体育館での試合は、昨シーズンの覇者であるENEOSサンフラワーズを相手に奮闘。第1クォーターは22-20とリードを奪い、前半を終えた時点では4点ビハインドを背負ったものの、第3クォーターの10分間は相手を1点上回り、最後の10分を残した段階で3点差という接戦だった。第4クォーターに勢いを失い、最後は66-81と15点差がついてしまったとはいえ、大健闘と言っていいだろう。
今シーズンの姫路のトップスコアラーは、ルーキーの石牧葵。この日も22得点でチームハイとなっているが、第8週までの16試合も、そのうち10試合でチームハイを叩き出し、20得点を超えたのも7試合ある。ENEOSと対戦した第9週までの1試合平均得点は15.1点で、リーグの個人ランキングで4位につけている。
ENEOSとの第1戦について、石牧は「正直、ここまで競った試合ができるとは思っていなかった」と吐露しつつ「自分はどの相手に対してもチャレンジャー。ルーキーですし、どんどんアタックしていこうという気持ちは常に持っているので、気持ちで負けてなかったのが良かったのかなと思います」と振り返る。渡嘉敷来夢が欠場していても十分にサイズのあるENEOSのインサイドに臆することなく、果敢にドライブを仕掛け、3ポイントも思い切り良く打っていった石牧のアグレッシブな姿勢が姫路に活力を与え、ENEOSをも脅かした。ルーキーにして、早くも姫路を引っ張る存在になっている。
姫路の得点源といえば、昨シーズンは白崎みなみだった。石牧と同じように積極的に攻め、シーズン序盤からランキング1位を走り続けて得点王のタイトルも獲った。その実力を買われてシャンソン化粧品に移籍したことは、姫路にとっては大きな痛手だったはずだが、石牧の存在で持ちこたえているということも言えるだろう。第5週にはトヨタ紡織を接戦の末に撃破したが、ここでも石牧は20得点。18点差をつけてみせた第8週の新潟アルビレックスBBラビッツ戦では、現時点でシーズンハイの26得点に加えて7リバウンド5アシスト5スティールと大車輪の活躍を見せた。
アーリーエントリーの昨シーズン、即スターターに抜擢されて白崎と並び立ったことを考えると、その白崎が抜けた穴を埋めようという意識が働いていてもおかしくなく、それは時としてプレッシャーにもなり得る。しかし、石牧自身は得点源として受ける期待をプレッシャーには感じていないという。
「昨シーズンは、みなみさんが得点を取ってくれてるから周りも頑張ろうという感じだったんですけど、今シーズンは『全員で点を取りにいこう』ということを伊與田(好彦ヘッドコーチ)さんも言ってるので、その面に関しては自分にはプレッシャーは全然ないです。チームで取りにいくというのが私たちのスタイルで、私としても自分ばかりが攻めないようにしよう、全員で勝ちにいこうという気持ちがあります」