ここが踏ん張りどころであり、ここで一皮剥けるかどうか
「高田ヘッドコーチはディフェンスに重きを置いているので、ディフェンダーとしての自分の持ち味をどんどん出していきたいです。プレータイムをシェアしていく形なので、出ている間は自分の持っている力を出し切ることにフォーカスしています」と笠置は新体制を前向きに捉え、新たな景色を見に行く。ポイントガードとして、「どこが相手でもディフェンスからプッシュして、そこから流れのあるオフェンスを展開していくようにすること。ディフェンスでは背中で見せて、オフェンスでは良いテンポを作るのが、今シーズンの自分の仕事だと思っています」と役割も明確だ。
笠置と藤田和のポイントガード陣に対し、「彼女らが核になれば、チームとしてステップアップできる。これまでは渡邉(亜弥)と根本(葉瑠乃)が中心でしたが、14人誰が出ても自分が思っているバスケットが表現できるだけの選手たちに育ってもらいたい。でも、まだまだ僕が甘いのかな、というのが1番ですかね」と期待し、新米ヘッドコーチも選手と一緒に経験値を高めている最中だ。
1勝7敗と結果は伴わないが、「自分たちのバスケットが遂行できているときは流れが良い」と笠置は手応えを感じていた。だが、「できていないときは明らかに流れが悪い」と遂行力が持続しない課題が浮き彫りになっている。
「迷いなどはないと思いますが、やっぱり練習からもっとお互いに競争し合うことが試合にもつながると思います。ヘッドコーチが代わって難しい部分もありますけど、慣れていていくためにも、自分たちの今できることを練習から出し切って、それを試合でも出せるようにしていきたいです」
開幕から1ヶ月が経ち、「すごくアップダウンダウンの多いチームではあるけど、今のところは着実にステップを踏めていると思っています。でも、常にベストの選択ができているかどうかと言えば、まだまだです。ちょっと疲れてきたときに、あと一歩がんばって走れなくなってしまいます。本当にここが踏ん張りどころであり、ここで一皮剥けるかどうかが今後を左右する」と高田ヘッドコーチは自ら示した方向を信じて指揮を執る。
全国をまわり、その魅力を普及するWリーグ。さまざまな地域に行っても、ファンが温かく迎えてくれていることに笠置は感謝していた。
「今は負け続けている状況の中でも、ファンの方の声援はすごく聞こえてきて、やっぱり愛されているチームだと実感できています。その応援に感謝して、まず1人ひとりがやるべきことを徹底し、チーム全員で何とかこの状況を打破していきたいと思います」
Wリーグは来シーズンより2ディビジョン制を採用し、今シーズンの上位8チームがWリーグ プレミア(仮称)へ、下位6チームはWリーグ フューチャー(仮称)に分けられる。開幕2ヶ月目はフューチャー圏内との対戦が続き、この混戦を抜け出せるか。確かに、ここが踏ん張りどころである。
文・写真 泉誠一