昨シーズンの得点王・白崎みなみや鷹のはし公歌ら新戦力も楽しみな存在だ。「2人とも良いシューターであり、スラッシャーでもある。それは、今までのシャンソンにはなかったところ。今シーズンは相手のファウルが増え、フリースローで加点ができるのが強み」と鵜澤ヘッドコーチも期待する。デンソーとの初戦で白崎が決めた8点のうち、半分の4点がフリースローだった。勝利した翌日は鷹のはしが13点と活躍し、戦力として溶け込みはじめている。
アーリーエントリーから数えて4シーズン目、本格的にシャンソンの一員となって3年目を迎えた吉田に変化が見られている。白崎やウチェら得点力ある仲間に恵まれている今は、「相手にとって的が絞りにくくなっている」と利点を挙げる。その中においても、「勝負どころの時間帯や勝敗を決めるようなときは、やっぱり自分が仕事をするべきだと思っています」とエースとしての自覚が芽生える。前述どおり、ディフェンスとリバウンドの意識も高く、鵜澤ヘッドコーチは「サイズがあって、リバウンドの感覚も良い」と言い、実際に貢献している。開幕前に行われたオータムカップは1勝2敗に終わり、悔しい経験をしたからこそ、「基礎練習からやり直してきたことが、徐々にみんなのプレーにも出ていると思います」と吉田は言い、攻守ともにチームを引っ張る存在になった。
コート上でチームメイトに声をかける姿こそ、目覚ましい成長である。「正直、そこは苦手な部分でした」という吉田は、自らの殻を破って現在進行形で進化している。
「これまでは自信のなさや、まわりを見る余裕がまだなかったんですけど、シャンソンで3年目になり、今年は新しい選手たちが多くいる中で自分から声をかけたり、背中で見せたりしないといけないと思いました。それが、勝つために必要なことだと思っています。本当は苦手だし、得意じゃないですけど、そんなことも言っていられないと思ってがんばっています」
キャプテンの小池遥、同期の金田愛奈や佐藤由璃果らともにシャンソンの歴史を築いてきた仲間とともに目指すべき高みへ向かう。
「チームとしては、全然まだまだ成長過程であり、完成はしていません。でも、どのチームに対しても自分たちのバスケットをすれば、結果は自然についてくるとも思っています。もちろん勝ちたい気持ちは常にあるんですけど、自分たちはチャレンジャーなので、どのチームに対してもしっかり戦いたいという気持ちはみんなが持っています」(吉田)
次節11月11日・12日は大阪の岸和田市総合体育館で8連勝と波に乗るディフェンディングチャンピオン、ENEOSサンフラワーズとの対戦が待っている。吉田が力強く語った「絶対に優勝します!」という目標を叶えるためにも、シーズン中から勝利をつかみに行く戦いが続く。
文・写真 泉誠一