「昨日はセットプレーが多くなったんですけど、今日は走って点を取りにいくというイーグレッツのスタイルが出て、それが良かったと思います。自分はこのチームでリバウンドと走るところで貢献したいと思っていて、今日はそのチャンスをもらったので頑張りました」
過去の3勝の相手は新潟アルビレックスBBラビッツと秋田、そして山梨クィーンビーズ。いずれも地域型クラブチームであり、姫路はアウェーの洗礼を浴びた中での白星だった。勝てば嬉しいのは当然のことで、アウェー感を跳ね返して勝つことも意味のあることだが、ホームで初めてつかんだこの日の白星はやはり格別。取材を受けている間も、2人の顔からは自然と笑みがこぼれる。
「アウェーで、相手の応援が多い中で勝つことも嬉しいんですけど、やっぱりホームで勝つのは全然違うなって思いました。何か起こすごとに盛り上がってくれて、頑張らないといけないなっていうのもあるし……嬉しいよなぁ?(笑)」(山本)
「はい(笑)。自分はこれだけのファンの方に見ていただけるというのも初めての経験なので、すごく緊張もするんですけど、その中でプレーできるのってこんなに楽しいんだなって感じました」(遠藤)
とはいえ、チーム自体が “ルーキー” である姫路にはまだ課題もある。プレー面もさることながら、東京オリンピック銀メダリストも抱えるような強豪チームと比べると、観客動員も決して多くはなく、「取材を受けるのはみなみさんが多いので、私は全然慣れてないです(笑)」(山本)という中でも、積極的にチームをPRしていかなければならない。
「地域の方々がサポートしてくださってるので、それには応えないといけないし、チケットが売れてなくて(笑)、自分たちも駅前でチラシ配りをしたりして呼びかけてはいるんですけど、まだまだ足りてない。もっといろんなところに発信していければと思います。富士通さんのホームで試合をしたときにお客さんの数がすごくて全然違うなと思ったんですけど、自分たちの元気なところ、良いところを周りが知り始めてくれてるので、姫路にもこんなチームがあるぞっていうのをもっと前面に出していきたいです。見ている人が楽しんでくれるようなバスケットができればと思います」(山本)
「すごく明るいチームで居心地が良いというか、ベンチにいても楽しめるチームだなというのをすごく感じてます。まだ参加したことはないんですけど、地域活動をしていることは知ってるので、自分も頑張ってやっていきたいです」(遠藤)
記念すべき参入初年度のシーズンは幕を閉じようとしているが、姫路にはこの先に長い未来が待っている。地域に根差したクラブチームとして、また関西地方唯一のWリーグチームとして、彼女たちに託された使命は非常に大きい。
文・写真 吉川哲彦