過去2シーズン、開催地を絞ってリーグ戦を行ってきたWリーグは、今シーズンから全国各地での興行が復活。元来競技の普及を目的の一つとしてきたリーグとして、東京オリンピック銀メダルで高まった女子バスケット隆盛の機運を日本中に広げていこうという姿勢が見える。
その一方で、地域に根差して活動するクラブ型チームのホームゲーム開催も維持。今シーズンは新規参入の姫路イーグレッツを含む5つのチーム全てが10試合以上のホームゲームを開催し、地域のファンがチームを後押しする。おらが町のチームがあることの意味は、企業チームが多数を占めるリーグの上層部もよく心得ているのだ。
山梨クィーンビーズも、今シーズンは県内で10試合のホームゲームが組まれている。その1試合目、つまりホーム開幕戦は10月29日に富士吉田市鐘山スポーツセンターで開催された。昨シーズンプレーオフに進出したトヨタ紡織を相手に、第1クォーターは20-20とイーブンで終えたが、第2クォーターに入ると相手のディフェンスの強度が上がり、ターンオーバーを連発。わずか4得点に沈むと第3クォーターも9得点。試合中盤につけられたこの点差が響き、56-70で黒星を喫する結果となった。
ただ、第4クォーターだけを見るとスコアは23-14。フルコートのプレッシャーディフェンスでチャンスを作り、濱西七海を中心に得点を重ねて一矢報いることはできた。鐘山スポーツセンターといえば、昨シーズンの開幕戦を戦った場所。ENEOSという難敵に対し、4点差という大接戦を演じてみせたのがここだった。キャプテンの岡萌乃は「ここは相性が良いのかなと思う。ホームで応援してくださる方の力も受けて、勝利できるように頑張っていきたい」と今後のホームゲームでの健闘を誓った。
昨シーズン、1部と2部を統合して以降のWリーグでは最多となる6勝を挙げた山梨は、今シーズンの開幕をアウェーで迎えた。アランマーレ秋田との2試合はいずれもオーバータイムにもつれ込む熱戦で1勝1敗という結果だったが、見事に白星をつかんだ第1戦は最大22点差を追いつき、オーバータイムで8点差をつけるという会心の一戦だった。
岡は「そういう展開から追いつけるというのは、昨シーズンの経験があるからできたことだと思います。勝てないときは大事な場面で決めきれないということが続いていましたが、それを決められるようになってきた。昨シーズンの6勝という結果は、チームとしてすごく大きかったのかなと思います」と、結果が徐々に伴い始め、自信が芽生えてきたチームへの手応えを実感している。
この日のトヨタ紡織戦については「プレスを仕掛けて、連続で得点できた後に3ポイントでやられている。そこを抑えないとどうしても点差は詰まらない。良い流れの時こそもっとディフェンスを頑張って、オフェンスの回数を増やさないと」と反省点も口にするが、「チームで守る、攻めるというのは試合を重ねるごとに良くなっていると思います」と感触は悪くないようだ。
一方、岡は前週のアウェー戦で見た光景に少しばかり驚きもあったという。