しかしながら、Wリーグでのシーズンを過ごしたことがない新規参入チームには、今の時点ではまだ見えていない壁もある。その点で、昨シーズンまで山梨を率いていた伊與田好彦ヘッドコーチの存在は貴重になってくる。
「Wリーグで戦うには、まだまだだと思います。伊與田さんからも『何時間練習しても足りない』って言われてますし(笑)、常に上位チームと戦うイメージで練習するようにとも言われています。実際、練習でも具体的に言われるんですよ、『今のだと、あの選手にはやられるぞ』って」
ところで、イーグレッツというチーム名は白鷺という意味であり、姫路を代表する名所旧跡・姫路城がその外観から白鷺城とも呼ばれているところからきている。白崎は名前からしてイーグレッツの中心選手になるべくしてなったとも思ってしまうが、出身地は埼玉県越谷市。2年ほど前に帰省した際に一度だけ、越谷アルファーズのホームゲームを観戦したことがあるそうだ。趣向を凝らした取り組みで注目を集める越谷には、同じ地域密着型チームに属する1人として白崎も注目しているという。
「越谷のように盛り上げたいというのはすごくあります。姫路は女子スポーツが盛んで、バレーとかサッカーも頑張ってるんですよ。コロナ禍ですけど、連携していろんな取り組みをやっていこうという話はたくさん出てるんです。体験型イベントとか、ファンの人と触れ合える機会がちょっとずつでも増えたらいいなと思いますし、たくさんの人がホームゲームに来て、その中でプレーするのが楽しみです。ホームゲームを水色に染めてほしいです!」
Wリーグは白崎にとって憧れの舞台だった。奈良学園大卒業時はその夢が叶わなかったが、その中でも地道にスキルアップを図り、周囲の支えもあってようやく夢の舞台にたどり着いた。リーグ戦開幕を前に、白崎は「今、改めてバスケットが楽しいなって思います」とワクワクした気持ちを隠さない。
「以前はしっかり教えてもらえる機会も少なかったんですけど、今は伊與田さんに基礎から応用までバッチリ教えてもらうことができて、怒られながらも(笑)みんな楽しんでやっています。イーグレッツはみんなフレッシュで、元気の良さが一番の売りだと思うので、コート内でもベンチでもそういう明るさを出していきたいですし、伊與田さんからも『ガッツあふれるプレー、元気なプレーを最後までやりなさい』と言われています。そういう部分も今日は良かったかなと思うので、続けていきたいです」
この取材を受けることを三菱戦終了直後に知らされた際は「え~、何を訊かれるんですか~」と緊張したらしく、「ちょくちょく取材は受けるんですけど、あまり上手く喋れなくて毎回反省してます(笑)。キャプテンの宿命だと思うので、そこも頑張ります」と意を新たにした。8月に26歳の誕生日を迎えるが、この年齢でもチーム最年長。キャプテンとして、大黒柱として若いチームを引っ張り、Wリーグの盛り上げと地域活性化に一役買ってほしいところだ。
文・写真 吉川哲彦