3年ぶりに開催されたWリーグサマーキャンプは、昨年9月のオータムカップと同じ高崎アリーナが会場となった。参戦したのは、Wリーグ所属でないチームも含めて20チーム(うち2チームが出場辞退)。その中で、昨年のオータムカップのときとは立場を変えて再び高崎アリーナにやって来たのが姫路イーグレッツだ。昨年のオータムカップの時点でWリーグ参入は決定していたが、当時はまだ地域リーグ所属。今回は2022-23シーズンの新規参入チームとして改めて乗り込んできた。昨シーズン参入のプレステージ・インターナショナル アランマーレに続き、姫路がWリーグでどのような戦いを見せるかは今シーズンの見どころの一つ。このサマーキャンプは姫路のWリーグデビューの舞台となると同時に、姫路にとっては重要な試金石でもあった。
初日の対戦相手は三菱電機。この大会は若手だけで臨んだが、昨シーズンのプレーオフチームであることには変わりない。その三菱を相手に、姫路は第1クォーターにわずか2点ながらリードを奪い、最終的に敗れたものの58-69の11点差と善戦した。フルコートゾーンやトラップを駆使したディフェンスで相手のミスを誘発して速攻を繰り出す場面がしばしば見られ、スティールは11個、相手のターンオーバーは24個にものぼった。180センチ以上が1人もいないというサイズ面の不利を抱えながら、21本のオフェンスリバウンドを奪ってみせたのも特筆すべき点だ。
そのアグレッシブなチームスタイルを牽引したのが、キャプテンの白崎みなみ。26分32秒出場、22得点、4リバウンド、3スティールはいずれもチームトップの数字であり、間違いなく姫路の大黒柱だ。その白崎によると、昨年のオータムカップでWリーグのレベルの高さを体感したことが、姫路にとって何よりも良い経験になっているという。
「特に体の当たりの強さの部分で差を実感しました。すごくスピーディーで、プラス力強くということをどのチームも徹底していると思いました。何度か遠征で山梨クィーンビーズさんにお世話になったことはあったんですけど、それ以外でWリーグのチームと試合をしたことはほとんどなかったので、去年のオータムカップの経験は大きいです」
その経験を元に、サマーキャンプまでの約10カ月の間にチームはフィジカルを意識した練習を積み重ねてきた。この三菱戦では「まだ当たり負けしているところもあるんですけど、だいぶ耐えられるようになった」と、その成果を実感。さらに、「平均的に身長が低いので、それをカバーするディフェンスの部分で以前よりは差を埋めることができた。脚を使ってディフェンスできる時間帯は結構長かったかなと思います」と語るように、10カ月前は相手にアドバンテージを与えていた部分もある程度克服できたという感触がある。
敗れたとはいえ11点差という結果には白崎個人も、そしてチーム全体も手応えを得ている。トレーニングでフィジカル面の向上を感じていたとはいえ、いざ実戦となると「試合前はたぶん、みんな不安は大きかったんじゃないかと思います」と白崎は吐露するが、「試合が終わった直後はみんな笑顔でした」と自信につながったことを感じ取れたようだ。「フォーメーションが決まったときとか、その応用ができたときはチーム全体が盛り上がって、『今のプレー覚えておこう』って声もかけ合ってました」という証言からは、チームの雰囲気の良さも伝わってくる。