公式応援ソング「ロック★with you」を披露したフィロソフィーのダンスが、代々木第一体育館を埋めた7,151人のボルテージを上げ、「Denka Presents Wリーグプレーオフ 2021-2022」ファイナル第2戦の火蓋が切って落とされた。前日の第1戦で逆転勝利したトヨタ自動車アンテロープスが、勢いそのままに序盤からペースを握っていった。
「昨日負けたダメージがまだどこかに感じ、全体的に動きが硬かった。昨日のようなディフェンスの質がなく、トランジションも出せず、前半は速攻からの得点も5点程度しか取れていない。前半を終えて14点ビハインドだったが、後半は選手たちが本当に強い気持ちでリバウンドやペイントエリアもしっかり守って、そこからトランジションもよく出た。ようやく富士通らしいバスケができた」
前半は43-29でトヨタ自動車が14点リードで終えた。BT・テーブスヘッドコーチの言葉通り、2戦先勝方式により後がない富士通レッドウェーブが後半に向けて息を吹き返す。第3クォーターは23-18で富士通が上回り、61-52と9点差まで追い上げて最終クォーターを迎えた。
「少しずつ良くなってきていたので、逆転するならばこのタイミングだと思っていた。しかし、これ以上点差が離れれば逆転の可能性がなくなってしまう」とテーブスヘッドコーチは勝負を懸ける。一方、トヨタ自動車のルーカス・モンデーロヘッドコーチもここが勝負どころだと見極め、ギアを上げた。
第4クォーター開始2分の出来事
ともに1本ずつ得点を挙げ、第4クォーター開始1分が経過。「自分には若干弱虫なところがあり、昨日も今日もちょっと出てしまったかな」という馬瓜エブリンは、それまでシュートを躊躇してしまっていた気持ちの弱さを反省する。しかし2連覇へ向け、コートに立つ仲間たちや前のめりで力を送るベンチメンバーがエブリンに勇気を与え、思いきってシュートに行ったことでバスケットカウントをねじ込んだ。
「あそこでしっかり仕事をしなければいけないと思いました。勝利をつかむ大事な場面だったし、みんなが声をかけてくれたことで勇気を持ってシュートに行くことができたと思っています」
エブリンはフリースローもしっかり沈め、66-54と12点差に広げる。同時に、宮澤夕貴のファウルを4つとし、ベンチへと追いやった。代わりに入ったオコエ桃仁花も同じく4つ、富士通はファウルトラブルに見舞われていた。フリースロー後、トヨタ自動車はフルコートでプレスディフェンスを仕掛ける。ポイントガードの山本麻衣は、モンデーロヘッドコーチの指示に従った。
「それまでは3クォーターで守って、速攻を出さないようにディフェンスをしていましたが、勝負どころでヘッドコーチが指示を出し、自分たちは言われたことを遂行し、自分たちで判断してプレーするだけでした。ヘッドコーチを信じてその一本に懸けていました」
ボールを持った篠崎澪に対し、山本とエブリンがプレッシャーをかけ、焦って放ったパスをシラ ソハナ ファトー ジャがスティールし、山本が得点を決める。続くディフェンスも川井麻衣がボールを奪う。馬瓜ステファニーが長いステップで富士通のディフェンスを突破してゴールを決め、70-54と16点差に広げる。開始2分、富士通はタイムアウトを取った。
「もう一度、逆転するためにどうすれば良いかについて話した。このプレーオフで3ポイントシュートの本数が少なく、確率もあまり良くなかった。選手たちもそのスランプを感じていた。でも、もし逆転するならば、ディフェンスで相手を止めてブレイクを出して、どんどん3ポイントシュートを狙いなさいと言った。そんな単純な指示だった」